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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年12月1日 No.3295 提言「外国人材受入促進に向けた基本的考え方」を公表

今年6月の閣議決定「日本再興戦略」の方針に沿って、現在政府において外国人材の活用について検討が進められている。11月18日には、出入国管理法と技能実習制度の改正法が成立した。これら一連の流れを受け、経団連は11月21日に提言「外国人材受入促進に向けた基本的考え方」を公表した。

■ 基本認識

本格的な人口減少社会を迎えるなか、経済・社会の活力を維持・強化するためには、外国人材の受け入れが不可欠である。現状のままでは世界における高度人材の獲得競争に劣後する懸念がある。業種や地域によっては労働力不足が深刻であり、産業や生活基盤の存立に関する強い危機意識を持っている。

受け入れを推進すべき外国人材については、(1)イノベーション創出・競争力強化を目的とした「高度人材」(2)産業やインフラの維持に必要な技術・技能継承を目的とした「社会基盤人材」(3)介護などの生活基盤の維持を目的とした「生活基盤人材」――と整理される。

■ 現下の課題

高度人材に関する課題としては、日本への就職を希望しながらも実際には日本へ就職できない留学生が多く存在すること、就労環境や出入国管理制度、帯同家族への対応などがある。

社会基盤人材・生活基盤人材に関する課題としては、社会基盤の整備・維持にかかる産業において、高齢化により技能継承が困難になりつつあること、生活基盤を維持する介護等の人材が、増大する需要に対して大幅に不足していることなどがある。

■ 求められる政策対応

まず、高度人材や留学生にとっての日本の魅力の向上やグローバル企業の人事の円滑化に資する施策が求められる。具体的には、高度人材ポイント制の拡充、永住許可の要件緩和、企業内転勤の要件緩和などが必要である。

また、社会基盤人材について、産業個別のニーズに応じて、受け入れ対象の拡大や受け入れ期間の延長等を行うべきである。具体的には、企業内転勤の対象者拡大、製造業外国従業員受入事業の見直しの検討、一定の技能を有する外国人材の活用などが求められる。

生活基盤人材においては、介護現場の人手不足の緩和や外国人の介護人材、家事支援人材の受け入れ拡大が求められる。具体的には、資格の緩和などEPA介護福祉士候補者の活躍促進策や外国人家事支援人材の受け入れ地域の拡大が必要である。

このほか多文化共生政策として、外国人住民のニーズや外国人集住地域の課題に対して、個々の自治体の取り組みを超えた全政府的な対応が求められる。教育、医療、行政サービス、災害情報等の外国人対応を推進すべきである。

一方、企業には、ダイバーシティー経営の推進、長時間労働の是正、人事制度改革など、就労環境の一層の充実に取り組むことが求められる。また、企業による多文化共生の取り組みがさらに広がることが期待される。

■ 今後の課題

今後の課題として、多文化共生政策に関するコスト負担のあり方等を含む、国民的コンセンサス形成に向け議論を重ねる必要がある。一般的な移民受け入れ問題については、定住・定着が最大の焦点となる「移民」をどう位置づけるかを含め、丁寧な議論が必要である。棚上げすることなく、将来に向けての検討課題としたい。

【経済政策本部】

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