経団連のOECD諮問委員会(櫻田謙悟委員長)は10月26日、東京・大手町の経団連会館でBIAC(The Business and Industry Advisory Committee to the OECD)のフィル・オライリー会長ならびにベルンハルト・ベルシュケ事務局長の来日の機会をとらえ、両氏との懇談会を開催した。
経団連が加盟するBIACは、OECDが取り組む経済・社会の重要課題について民間経済界の意見を取りまとめ、OECDならびに加盟国政府に対し提言を行っている。会合に先立ち、櫻田委員長は10月24、25の両日にソウルで開催されたBIAC理事会ならびに韓国のOECD加盟20周年記念行事にBIAC副会長として参加した。
オライリー会長、ベルシュケ事務局長からのメッセージは次のとおり。
OECDには先進35カ国が加盟し、経済成長ならびに雇用創出を最優先課題として、データに基づいた議論を展開している。近年は、その調査・分析機能を活かしてG20サミットの支援機能を担うなど、グローバル経済の不確実性が高まるなか、OECDの果たす役割は重要性を増している。
並行してBIACはB20との連携を強めており、今年杭州で開催されたB20中国サミットには、オライリー会長はじめBIAC関係者が多数参加した。来年のB20ドイツサミットに向けて、BIACは主催のドイツ産業連盟などと連携し、デジタル経済、責任ある企業行動等に焦点を当てた取り組みをすでに開始している。
BIACの主要政策課題は、税制、貿易投資、責任ある企業行動、デジタル経済等である。BIACの多岐にわたる活動に対する経団連の積極的な貢献に感謝している。
税制について、BIACはOECD/G20によるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトに産業界を代表して参画してきた。BEPSプロジェクトはOECD加盟国だけでなく新興国・途上国など、関心のあるすべての国が参加することのできるグローバルな取り組みであり、今後は各国が実施を進めていく。
貿易投資については経済成長における自由な貿易投資の重要性を強調している。最近は越境データフローを推進するとともに、データ・ローカリゼーションなどの貿易制限的な措置に対抗するようOECDに働きかけている。
責任ある企業行動について現在、OECDは、セクター別のガイダンスに加え、責任ある企業行動に関する一般的なデューディリジェンス・ガイダンスの策定に取り組んでいるが、これが企業にとって非現実的で過重な内容とならないよう、BIACはOECDにくぎを刺している。
デジタル経済については、今年6月にカンクンで開催されたOECDデジタル経済政策委員会閣僚会合にBIACも参加し、デジタル経済の推進におけるバランスの取れた包括的な政策の重要性を指摘した。カンクンでの対話をベースにOECDとの連携をさらに深めていきたい。
【国際経済本部】