経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で、国賓として来日したベルギーのフィリップ国王、政府関係者、経済代表団との懇談会を開催した。経団連からは榊原定征会長、十倉雅和副会長、宮本洋一審議員会副議長、伊藤雅俊審議員会副議長、石塚博昭ヨーロッパ地域委員長、大西賢運輸委員長らが出席し、日本とベルギーの経済状況と今後の展望について意見を交換した。
冒頭、榊原会長から「今年は日本とベルギーの外交樹立150周年の年であり、両国は緊密な関係を築いてきた。ベルギーは欧州の首都として、企業戦略上重要な位置を占めており、日本企業も200社以上進出している」としたうえで、「次の150年に向け、経済関係を一層発展させるためには、日EUの経済関係強化が不可欠であり、そのためには現在交渉中の日EU経済連携協定(EPA)の早期合意が必要。また、英国のEU離脱問題(Brexit)により世界経済の不確実性が増すなか、ベルギーの役割は極めて重要」と発言した。
これを受け、ベルギー企業連盟のミッシェル・シウン会長から「二国間の貿易・投資は堅調に推移しており、ベルギーから1500以上の企業が輸出を行い、80社が日本に進出。日本からの投資も継続的に拡大している」との認識を示しつつ、「二国間関係はさらに拡大する余地があり、日EU EPAの早期合意を足がかりとして、日本・EU間、二国間の関係を深めたい。また、Brexitによる不確実性を払拭し、欧州統合のさらなる深化を目指したい」との意欲が示された。
その後、両国経済界同士のディスカッションでは、石塚委員長から日本経済やビジネス環境をめぐる現状について概説したうえで、「現在、第4次産業革命、Society 5.0などを柱とした官民戦略プロジェクトを推進しており、国境を越えた自由なデータ流通が不可欠。日EU EPAにこの内容を盛り込み、国際的なルールづくりにつなげていくようご協力いただきたい」と呼びかけた。
これに対しシウン会長は、輸出拡大・雇用状況改善など良好な状態にあるベルギー経済の現状を説明しつつ、「投資・ビジネス環境の改善に向け、退職年齢延長、法人税率低減、近隣諸国との賃金格差縮小、公共投資促進、労働市場の柔軟性確保などの構造改革も進行中。日EU EPAについても規制協力を進めていきたい」と述べた。
そのほか、日本、ベルギーの農業と食に関する活発な意見交換が行われるとともに、ベルギーの医薬、スポーツ、金融、板ガラスなどの産業に関する説明があり、両国の技術協力によるイノベーションへの期待などについて懇談を深めた。
【国際経済本部】