経団連(榊原定征会長)は10日、韓国・ソウルで韓国のカウンターパートである全国経済人連合会(全経連)首脳との懇談会を開催した。経団連側からは榊原会長はじめ18名、全経連側からは許昌秀会長はじめ18名が参加した。
また同日午後には、朴槿惠大統領ならびに周亨煥産業通商資源部長官との会談を行った。
■ さらなる日韓経済協力の強化にむけて
懇談会では、日韓両国の経済界が永年にわたって培ってきた相互理解と信頼関係を基盤に、両国のさらなる発展に向けた中長期的な課題とそれを解決するための協力方策などについて議論した。
冒頭、双方から政府の経済政策や経済界の対応を紹介するとともに、最近の経済情勢について報告があった。
続くセッションでは、グローバル市場における日韓経済協力をはじめ、産業協力を通じた両国の成長と競争力の強化について率直な意見交換を行った。
グローバル環境での日韓協力をめぐっては、アジアの経済統合がアジアの成長を持続するために不可欠であることを確認した。経団連側は質の高い日中韓FTA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の早期締結のために、日韓両国が緊密に協力していくことが重要であると強調した。
さらに、これまでの懇談会でも議論を重ねてきた第三国市場における日韓協力の強化については、これまでの具体的な双方の事例を共有するとともに、第三国市場への共同展開を支援する日韓両国の制度基盤等について理解を深めるため、来春に関連のセミナーをソウルで開催することに合意した。
また、日韓両国の持続的成長と競争力強化のために両国の産業協力が不可欠との認識のもと、観光やサービス産業等に加え、次世代の成長産業について、今後の協力拡大をめぐって意見交換を行った。その結果、持続的成長の基盤となる科学技術、イノベーションの分野で、互恵的な立場から協力拡大に向けて努力していくとともに、若年雇用、インターンシップを含め両国の人材交流の促進について、両国が協力していくこととした。
さらに、両国の経済界は、揺るぎない日韓関係の構築に向けて、日中韓首脳会談の折に「日中韓ビジネス・サミット」を開催するなど、経済面から最大限の協力を行うことで合意した。
懇談会の終了にあたっては、当日の議論を踏まえて共同声明を取りまとめた。
朴大統領、周産業通商資源部長官との会談
懇談会の後、榊原会長はじめ経団連一行は、朴大統領、周産業通商資源部長官と会談した。
朴大統領との会談では、全経連との首脳懇談会の報告を行うとともに、日韓両国の経済協力を一層強化していくため、その基盤となる安定的で良好な政治・外交関係の強化を要望した。また、第三国市場での日韓協力の推進や両国間の貿易・投資の一層の拡大の観点から、日中韓FTAやRCEPが包括的かつ高いレベルで早期実現を要望した。あわせて、日本の経済界は韓国のTPP(環太平洋パートナーシップ)参加についても、歓迎している旨を伝えた。
朴大統領からは、経団連と全経連が緊密な交流を続け、未来志向の win-win の関係を構築していることに歓迎の意が示された。さらに、最終消費財の貿易拡大や対韓国投資の拡大をはじめ、インフラ・資源開発等に加え、エンターテインメント、ヘルスケア分野などでの第三国市場協力、新産業の育成、イノベーションなど、幅広い分野での日韓経済協力に期待が寄せられた。
TPPをめぐっては、その後の周産業通商資源部長官との会談において、韓国はTPPへの参加に向けて準備を進めているとの発言があった。
【国際協力本部】