経団連は9月30日、東京・大手町の経団連会館でサブサハラ地域委員会(野路國夫委員長、加瀬豊委員長)を開催し、TICADⅥ(第6回アフリカ開発会議)の報告会を開催し、外務省の丸山則夫アフリカ部長から報告を受けるとともに懇談した。報告の概要は次のとおり。
■ 丸山外務省アフリカ部長報告要旨
今回のTICADは初のアフリカ開催であったが、ケニアが会議開催地に決定したのが約1年前、そこから綿密に事前準備を進めてきた。会合のテーマを決定するにあたり、前回会議開催時と比較した情勢変化として、(1)資源価格の下落(2)エボラ出血熱等感染症発生から露呈したアフリカ各国における保健システムの脆弱性(3)暴力的過激主義の台頭の3点が挙げられた。これらの課題に対し、日本らしく対応するため、(1)質の高いインフラの整備(2)質の高い保健システムの構築(3)質の高い人材育成――の3つを柱とする方向で提案し、アフリカ側の賛同を得た。
ケニア政府の発表によれば、TICADⅥにはアフリカ53カ国、国際機関、民間セクター、NGOから約1万1000人が参加した。また会議と平行して結ばれた覚書は70本以上、JETRO(日本貿易振興機構)が主催したジャパンフェアでは、1500件以上の商談が行われた。加えて、安倍総理から、今後3年間で約1000万人の人材育成、官民総額300億ドル規模のインフラ整備を表明したほか、新たに日アフリカ官民経済フォーラムの立ち上げを宣言するなど、非常に大きな成果を挙げることができた。
また、今回のTICADでは、日本とアフリカ各国との間のみならず、米国やフランス、イギリスといった他のドナー国からも多数が参加し、三国間での覚書が締結された。
TICADは今後、日本とアフリカで交互に3年ごとに開催される。次回は2019年に日本での開催となる。アフリカでのホスト国の選定には、複雑な手続きが必要になり、時間がかかる。6年後、12年後のアフリカ開催国をどのように決めていくかについて早期に検討を行うことが求められる。
今回のTICADでは、官民のみならず、日本・アフリカ連合友好議員連盟の議員にも積極的にご参加いただき、アフリカ側からも高い評価を得たことを付け加えたい。TICADⅥで表明したコミットメントについては、官民に政治を加えた政官民の三者間で連携してフォローアップを行っていきたい。
【国際協力本部】