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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月1日 No.3283 高大接続や高等教育の課題について聞く -教育問題委員会

説明する日本学術振興会の安西理事長(左)と
文科省の義本審議官

経団連は8月5日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会(渡邉光一郎委員長、岡本毅委員長)を開催した。日本学術振興会の安西祐一郎理事長、ならびに文部科学省の義本博司審議官(高等教育局担当)から、高大接続や高等教育の課題について説明を聞くとともに意見交換した。

■ 日本の未来を賭けた教育改革

安西理事長は冒頭、「現在、日本の未来を賭けた教育改革が進行中である。新学習指導要領の実施や高大接続改革は、改革実現のための大きな歩みになる」と述べた。そして、これからの子どもたちが直面する社会・教育上の課題として若年人口の急減と進学率の上昇に伴う課題を指摘。「1967年の18歳人口が243万人だったのに対し、2018年には118万人に減少する見込み」であり、「93年に高校等を卒業した176万人のうち、116万人が進学(専門学校・短期大学・大学等)したのに対し、12年には、高校等を卒業した106万人のうち、96万人が進学」しており、「18歳人口の激減と進学率の上昇に、産業構造や労働市場の変化が追いついていない」ためミスマッチが生じていると説明した。

そのうえで、労働生産性の低迷や労働市場の激変に対応し、より多くの人々が働ける社会を実現するためには、これまでの教育を改革する必要があり、「十分な知識や技能を持つことを前提に、それらを活用できる思考力、判断力、表現力を身につけるとともに、主体性を持って多様な人々と協働して学び、働く力を育む教育を実現する必要がある」と訴えた。具体的には、大学教育改革のため17年度から各大学に「3つのポリシー」(注)の公表が義務づけられるほか、「高等学校基礎学力テスト」や大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」の導入、新学習指導要領の実施などを通じて社会に開かれた教育やアクティブ・ラーニングを実施していくことを説明した。

義本審議官からは、高等教育の課題について説明があり、大学院教育に関して、専門分野の枠を越えた俯瞰力と独創力を備え、広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダー養成のための「博士課程教育リーディング・プログラム」や新たな知の創造と活用を主導する博士人材育成のための「卓越大学院構想」を推進していることの説明があった。

■ 多様な進路の実現が必要

続く意見交換では、経団連側から「高大接続に関して、学校間・生徒間の格差の問題をどうとらえるか」との質問があったのに対し、安西理事長は「全員が大学に進学する必要もなく、生徒が自分に合った進路を選択できるように社会全体でキャリア・パスを多様化していくことが必要」と述べた。

また「国立大学の財政状況も厳しいと聞いており、今後の高等教育への財政支出をどう考えるか」との質問に対しては、義本審議官が「国のみでなく企業や地方自治体も巻き込んで検討すべきであり、国立大学自身の改革を前提に、自治体や企業も国立大学のリソースをもっと活用してほしい」と訴えた。

(注)3つのポリシー=入学者受け入れ方針、教育課程の編成・実施の方針、学位授与の方針

【教育・スポーツ推進本部】

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