経団連(榊原定征会長)は8月5日から11日にかけ、日本メキシコ経済委員会の志賀俊之委員長を団長に42名で構成されるミッションをキューバ(ハバナ)ならびにメキシコ(メキシコシティ、グアダラハラ)に派遣した。
■ キューバ
キューバは、米国の段階的経済制裁緩和等を背景に、新たなビジネス機会の創出に期待が高まっている。こうしたなか、経団連として初めてとなるミッションを派遣し、今後の事業展開にあたって参考となる情報を収集した。
現地では、カブリサス閣僚評議会副議長やグティエレス日本・キューバ友好議員連盟会長兼ビオクーバファルマ総裁との会談に加え、キューバ商業会議所と日本キューバビジネスフォーラムを共催した。キューバ側は、米国との国交回復や債務問題の解決等の結果、日本・キューバ両国の関係強化に向けた障害がなくなったと強調。さらに、外国投資法の制定やマリエル経済特区の創設によりビジネス環境が整備されつつあることを説明し、日キューバ間の貿易・投資拡大への期待を示した。日本側は、投資拡大に向け、日・キューバ投資協定の早期締結や直接雇用の解禁等による事業環境整備の必要性を指摘した。
■ メキシコ
一方、メキシコは米州大陸の中心に位置し、太平洋と大西洋に面するという恵まれた地理的条件や豊富な若い労働力に加え、北米自由貿易協定(NAFTA)や日墨EPAをはじめ多数のFTAを締結していることなどにより、自動車産業を中心に多くの日本企業が事業活動を展開している。さらに足もとでは、ペニャ・ニエト政権の構造改革の進展や、日墨両国がともにTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の加盟国であることから、さらなる産業協力関係の深化が期待されている。これらの状況を踏まえ、経団連ミッションとして2年ぶりに同国を訪問し、幅広い産業のさらなる事業展開の可能性を探った。
メキシコシティでは、グアハルド経済大臣、デ・ラ・マドリッド観光大臣、メキシコ国際企業連盟(COMCE)のモロド会長のほか、エネルギー省幹部、ProMexico幹部といった官民要人、日系人組織である日墨協会などとも懇談を行った。一連の会合を通じ、メキシコ側は、改革が進むエネルギー分野を中心にメキシコ国内には多くのビジネスチャンスが存在すると説明し、自動車分野にとどまらない幅広い産業への投資拡大に期待を示した。これに対し、日本側はさらなるビジネス環境の整備を求めた。また、TPPの早期発効に向け、両国が率先して批准手続きを加速していくことの重要性を確認した。また、経団連のカウンターパートであるCOMCEとの間では、両国経済のさらなる発展に向け、人的交流を含めて全面的に協力していく旨を記した覚書を締結した。
グアダラハラでは、サンドバル・ハリスコ州知事との懇談のほか、大同メタルメキシコといった現地で活動する企業を訪問し、当地で事業を展開する魅力などについて聞く機会を得た。また、個別企業と州政府による投資および観光に関する懇談も実施され、日本企業による今後の事業拡大への高い期待が示された。
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今回のミッションは、メキシコ、キューバとの経済関係深化に向けた大きな一歩となった。経団連は引き続き、両国との関係深化に取り組んでいく。
【国際協力本部】