経団連の経済財政委員会統計部会(野呂順一部会長)は7月13日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、日本銀行調査統計局の肥後雅博参事役から「全国企業短期経済観測調査」(短観)の見直し方針について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。
日本銀行では現在、短観について、調査項目の新設・拡充などの見直しを検討している。見直し方針の骨子と主な項目の詳細は次のとおり(図表参照)。
1.「研究開発投資額」の調査項目への追加
近年、わが国企業にとって研究開発の重要性は高まっており、2016年末に公表予定の国民経済計算の基準改定では、研究開発投資がGDPに計上される。
そこで、売上高や設備投資額等を調査する「年度計画」の項目に、新たに「研究開発投資額」を追加し、全企業を対象に、財務会計上の研究開発費について年度ベースの実績・予測を調査する。
2.「為替レート」調査の拡充
現行の短観では、輸出企業を対象に対米ドル円レートを調査している。しかし近年、為替レートが事業計画に及ぼす影響に関しては、輸入の増加、対外直接投資の増加を受けた投資収益の重要性の高まり、ユーロ等米ドル以外の通貨の役割拡大という環境変化を無視できなくなっている。
そこで、現行の調査を拡張し、輸入企業も含む全企業に対し、事業計画の前提となる為替レートについて対ドル円に加え、新たに対ユーロ円レートの実績・予測を調査する。
3.「海外での事業活動」に関する調査項目の新設
グローバル化が一段と進展するなか、海外事業活動が国内の企業活動に及ぼす影響はますます増大している。
そこで、連結企業グループの最上位に当たる親会社かつ資本金10億円以上の大企業を対象に、連結ベースの「連結売上高」「海外売上高」「連結経常利益」「連結設備投資額」「海外での設備投資額」について年度ベースの実績・予測を調査する。現行は調査対象ではない主な純粋持株会社にも、新たに調査への協力をお願いする。
15年9月に150社の協力を得て予備調査を行ったが、回収率は9割超と高く、調査は十分可能であることを確認した。さらに、予備調査の結果を踏まえたうえで、調査項目は決算開示項目に合致したものに限定し、回答する計数の定義についても弾力的な対応を行うなど、企業の回答負担を抑制する工夫を行った。
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日本銀行では上記方針について、8月19日まで意見を受け付けている。詳細は日本銀行ホームページ(http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2016/ron160601a.htm)を参照
【経済政策本部】