経団連は7月15日、東京・大手町の経団連会館でロードメイヤー・オブ・シティ・オブ・ロンドンのマウンテヴァンズ卿との懇談会(座長=石塚博昭ヨーロッパ地域委員長)を開催した。ロードメイヤーはロンドンの金融街シティの行政長であり、シティを拠点とする金融サービス産業および関連ビジネスの大使として、諸外国との関係強化の役割を担っている。発言の概要は次のとおり。
■ EU離脱後もシティは欧州最大の金融センター
EU離脱をめぐる国民投票はシティの期待に反する結果となったが、われわれは英国民の決断を尊重しており、引き続き前進する。英国がEUとの新協定を検討するにあたり、焦点は、EU単一市場へのアクセスの維持と人の自由な移動の確保のバランスとなろう。
金融サービス業は英国内で全雇用の7%に当たる200万人の雇用を創出し、税収の11%に相当する年間650億ポンドの税収を生む英国経済の中心である。金融のみならず法律や保険、会計、エンジニア、海運などあらゆる分野の専門家が集まるシティは欧州最大の金融拠点センターである。1980年代には世界に先駆けて金融ビッグバンを起こすなど高い先見性を有しており、時代の変化に柔軟に適応してきた。英国がEUを離脱することになろうとも、シティの優位性は不動である。
■ 日本とのさらなる経済関係強化を期待
日英間で構造改革やコーポレートガバナンス分野において緊密な協力が進んでいることを歓迎する。日本がコーポレートガバナンス・コードを策定したことは企業統治の強化に資するもので評価したい。法人実効税率引き下げなど日本の投資環境が改善しつつあることに世界は注目している。
日本と英国は、相互の尊重、信頼に基づく強固な関係を150年以上にわたり維持してきた。現在1300社以上の日本企業が英国でビジネスを展開しており、雇用者数は14万人超に上る。同時に、英国を代表する何百もの企業が日本でビジネスを行っており、われわれは双方向の貿易投資関係を構築している。こうした強固な関係がEU離脱によって揺らぐことはない。英国は引き続き、ビジネスに対して開かれていることを約束する。
【国際経済本部】