経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会(豊田章男委員長、長榮周作委員長)では、企業経営者が各地を訪れ、アスリートやそれをサポートするスタッフたちと交流する活動を展開している。その一環として7日、豊田委員長が東京都荒川区にある鉄道弘済会の「義肢装具サポートセンター」を室伏広治氏とともに訪れ、同センターの活動を見学した。
「義肢装具サポートセンター」は、鉄道弘済会の福祉事業として、旧国鉄で作業中の不慮の事故により手足を失った人々のために、義肢の製作と修理を担ってきた「東京義肢修理所」を母体として設立。今日では、事故だけではなく病気により四肢の切断を余儀なくされた一般の人々のために装具を製作、あわせて機能回復訓練までを一貫して行う総合的なセンターとして活動を展開している。また、陸上や水泳などのスポーツ用義肢の研究開発、製作を手がけることで障がい者スポーツの普及にも取り組んでおり、切断障がい者のスポーツクラブ「ヘルス・エンジェルス」を創設し、パラアスリートへの指導も行っている。
当日は、スポーツ義肢の第一人者の臼井二美男氏(義肢装具士)の案内により、義肢装具の製作・研究の現場を視察するとともに、「ヘルス・エンジェルス」でも活動している鈴木徹選手(リオ・パラリンピック代表=SMBC日興証券)、村上清加選手(長谷川体育施設)から、パラスポーツの現状を聞いた。また、同センターを訪れていた谷真海選手(旧姓佐藤=サントリー、2020年東京大会招致プレゼンテーター)とも交流した。
豊田委員長と室伏氏は、センターの屋上にある試走コースで、義足歩行を体験するとともに、鈴木、村上両選手の走りを間近で見ることを通じて、パラアスリートの身体能力の高さを実感した。また、臼井氏、鈴木選手、村上選手と、パラスポーツに欠かせない義肢開発の将来や選手のトレーニングなどについて意見交換を行い、「トレーニングを通じて、義肢であっても小石を踏むと感じるほどに、血と神経が通うことを知った。人間の可能性を強く感じた1日だった」(豊田委員長)と述べた。
オリンピック・パラリンピック等推進委員会では今後も、こうした活動を委員会参加企業が中心となって進めていく。
【教育・スポーツ推進本部】