経団連は5月25日、東京・大手町の経団連会館で島尻安伊子内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)との懇談会を開催した。島尻大臣はじめ総合科学技術・イノベーション会議の久間和生議員、上山隆大議員、小谷元子議員、橋本和仁議員、内閣府幹部が出席、経団連からは榊原定征会長、岩沙弘道審議員会議長はじめ副会長らが出席した。
冒頭榊原会長は、「政府の掲げる名目GDP600兆円の達成に向けた最重要課題はイノベーションの創出にある。1月に閣議決定された第5期科学技術基本計画は経済界の意向が十分反映されたもの。着実な実行ならびに、基本計画で掲げられたコンセプト『Society 5.0』の実現に向け、産業界も政府と連携しながら取り組みを進めていく」と発言。あわせて、基本計画の実行に向け、政府研究開発投資対GDP比1%以上を確保することの必要性を主張した。
続いて島尻内閣府特命担当相からは、「茨城県つくば市で開催されたG7科学技術大臣会合の場で中西宏明経団連副会長から『Society 5.0』を各国へ紹介し、賞賛を受けた。『Society 5.0』のカギとなる人工知能については、仕事が失われる等の社会への悪影響が取り沙汰されるなか、会合を設置し、国民の不安を払拭すべく検討を進める」と発言。あわせて、「女性研究者の新規採用3割の確保や研究開発投資の拡大に向け、引き続き産業界からの協力をお願いしたい」との要望があった。
その後の自由懇談では、産業界から「海外へ発信できる日本発のコンセプトとして『Society 5.0』を発信していくべき」「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)は3D地図基盤等の具体的な成果が挙がってきており、継続するための準備を始めるべき」「日本にはICT、バイオテクノロジー等の優れた技術がある」「オープンイノベーションがカギ。本格的な産学官連携を進める必要がある」「知的財産とともに国際標準化が重要」などの意見があった。
内閣府側から「改革を先行的に進める大学にはメリハリをつけた投資を行う等、産業界からも後押ししてほしい」「オープンイノベーションの重要性を現場レベルに浸透させるためトップダウンの指示を出してほしい」といった意見が出され、政府と産業界の間で問題意識の共有が図られた。
【産業技術本部】