経団連の榊原定征会長は25日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
榊原会長は、マイナス金利について、貸出金利を下げ、企業の設備投資や研究開発、国民の住宅購買を促進し、消費を活性化させるなどプラス面に言及。ただし、プラス効果が現れるまで時間を要することから、政策評価にあたっては、長期的視点に立ち、総合的にみていく必要があると述べた。
次に、同一労働同一賃金について、経済界は正社員と非正規雇用の不合理な格差の解消に向け、政府と方向性を共有しているものの、制度の検討にあたっては、わが国の賃金制度や雇用慣行を踏まえるべきとし、特に、職務内容だけでなく、労働者に対する期待・役割、将来における会社への貢献などの要素を勘案して賃金を決定していることを指摘。同じ職務内容であるから賃金を同一にするという考えをそのままかたちにした制度はわが国の実態には合わず、日本企業の人材活用の強みが失われかねないとの懸念を示した。また、本件は、これからじっくりと検討すべきであると言及。非正規雇用の待遇改善に向けて、その給与が正社員のどの程度の割合が適切かといったことを含め、日本の雇用慣行・雇用制度を踏まえながら、しっかりと時間をかけて議論していくことが必要であるとの認識を示した。
消費税率の引き上げについては、社会保障の安定化・充実と財政健全化の観点から、予定どおり行うべきとした。そのための環境整備として、短期的には消費のテコ入れ策の実施、中長期的には経済の地力をつけることなどを挙げた。経済界としては、消費税率を計画どおり引き上げるべきとの考えに変わりはないものの、熊本地震について、今後、経済的な損失が明らかになってくることから、そうした点も含めて、総合的に判断し決定されるだろうとの見方を示した。
また同日、東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムが決定されたことを受け、日本的な清爽さや誠実さ、江戸らしさが感じられるデザインであると述べた。昨年夏のエンブレム撤回を教訓として、非常に透明性が高く、厳正なプロセスで選考が行われたことを評価。選考過程で積極的な情報発信もなされ、多くの国民が関心を持ち、納得を得られるかたちでエンブレムが決定されたことを歓迎。エンブレム問題や新国立競技場問題など想定外の事態が続いたものの、これで東京オリンピック・パラリンピックの開催準備にも弾みがつき、前進していくと期待を表明した。
【広報本部】