経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)を開催した。米国ITI(情報技術産業協議会)のディーン・ガーフィールドCEOとジョン・レンハート・ディレクターから、インターネット政策をめぐる国際動向について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 国際動向
近年、ICTを活用したイノベーションが人類史上類をみない規模と速さで起きている。世界各国が競って政策立案をしているが、コントロールを強めるような誤った政策を選ぶ国があることを懸念している。
インターネット国際政策の重要課題として、国境を越える自由なデータ移転、プライバシー、サイバーセキュリティ、インターネットガバナンスなどがある。これらの点について、経団連とACCJ(在日米国商工会議所)がまとめた「日米IED民間作業部会共同声明」は、活用と保護の両立への意思が示されており、われわれITIの考え方と一致している。
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の合意など貿易面でアジア太平洋地域の結びつきが強まり、市場が広がる一方で、新興国のなかにはインターネットガバナンスへの規制を強化する動きがある。重要なのは規制国に対して、多国間での対話を通じて、規制が経済成長の妨げになると説明し続けることである。また、規制国の産業界に働きかけ、理解を得ることも必要であり、内外の2つの側面からのアプローチが重要となる。
■ G7や東京オリンピック・パラリンピックへの期待
日本が議長国となり、4月には「G7情報通信大臣会合」、5月には「G7伊勢志摩サミット」が開催される。これらの場において、ICTをめぐる国際動向を踏まえた議論が行われることを期待している。それを土台として、9月に中国で行われるG20の会議などにつなげることが重要である。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックも、日本が世界に対して技術力をアピールするまたとない機会である。エレクトロニクス、インフラ整備、自動運転などにおける世界のリーダーとしてイノベーションをみせてほしい。
オバマ政権時代にデジタルエコノミー政策の基礎が築かれたことはプラスの評価であり、このうえに何を進めていくかはわれわれ産業界が担うところが大きい。
本会合を通じて、ITIが経団連と認識を共有していることをあらためて確認した。今回の意見交換を皮切りに長期的な協力関係を築いていけることを願っている。
【産業技術本部】