経団連は16日、東京・大手町の経団連会館で中東・北アフリカ地域委員会(木村康委員長、石飛修委員長)を開催し、外務省の上村司中東アフリカ局長から、中東・北アフリカ諸国をめぐる最近の情勢に関する講演を聞いた。また、経済産業省から、今年5月に開催予定の「第4回日本・アラブ経済フォーラム」の準備状況について説明を受けた。
■ 中東情勢について
上村局長は、イランの核関連の制裁が解除されたことにより、これまで日本企業が協力してきた分野のインフラのリハビリ・更新など手堅い部分ではしっかりとビジネスを進展させていくことが重要である一方で、すべての対イラン制裁が解除されたわけではないなど留意すべき点が多く、慎重な見極めが必要であると強調した。
また、中東地域をめぐる課題の1つである資源価格下落の影響について、産油国が順次緊縮財政を含む内政改革に取り組まざるを得なくなるとの見方を示すとともに、アラブ産油国からの投資に依存している中東・北アフリカ地域の非産油国への投資減少が経済・社会に影響を与える可能性が懸念され、同地域の安定に向けた支援の重要性が指摘された。
サウジアラビアとイランの外交関係においては、年初来のイラン側の慎重な対応ぶりを高く評価しつつ、両国の関係改善に向けた環境づくりに協力していくことが重要とした。ISILの問題は関係諸国の優先政策順位の違いが対応を難しくしており、解決には時間がかかるとの認識を示した。また、中東地域全体を俯瞰し、「アラブの春」後に各国の混乱と域内パワーバランスが変化し、地域が一層混沌とするなかで、域内主要国による問題解決が何よりも重要であり、すべての関係国と良好な関係を維持している日本として、関係国間の相互理解増進に積極的に協力していきたいとの説明があった。
■ 第4回日本・アラブ経済フォーラム
経済産業省から「第4回日本・アラブ経済フォーラム」について、今年5月4日から5日にかけてモロッコ・カサブランカで開催予定であり、日本から官民あわせて300名、アラブ諸国から700名の参加が見込まれており、準備が整い次第正式に公表するので積極的に参加してほしい旨の説明があった。
【国際協力本部】