経団連のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長)では、佐藤委員長が9日にノルウェーのオーレミク・トンメセン国会議長一行と、清水章企画部会長が2日にリトアニアのロレータ・グロウジニエネ国会議長一行と、それぞれ東京・大手町の経団連会館で懇談した。懇談の概要は次のとおり。
■ トンメセン・ノルウェー国会議長一行
トンメセン議長は、ノルウェーは人口500万人の小国であり、1億3000万近い人口を有する日本とは規模が大きく異なるものの、両国は民主主義、法の支配、人権といった基本的価値観を共有し、長い海岸線を有する海洋国家であるなど多くの共通点があると指摘。ノルウェーにとって日本は重要なパートナーであると述べた。
佐藤委員長から、同国で女性の社会進出が進んでいる背景について聞いたところ、インイェル・スカウ国会副議長は長年ビジネスに携わってきた経験から、女性の労働参加には政府による社会福祉システムの整備、女性の労働参加への意欲、男性の家庭での居場所づくりの3点が重要と指摘した。また、ノルウェーでは企業の取締役会の構成について、男女いずれか少数派の性別を40%以上とすることが義務づけられていると説明。ノルウェー人の平均労働時間は1日8時間程度で日本人の10~12時間程度に比べると短いが、日本でもより多くの女性が職を得て夫婦で働くようになれば、世帯の労働時間は計16時間になるのではないかと述べたうえで、女性の労働参加を促すような税制改革が必要との考えを示した。
■ グロウジニエネ・リトアニア国会議長一行
グロウジニエネ議長は、2016年は両国の新たな外交関係の開設25周年にあたることを契機に、貿易投資関係や観光交流をさらに活発化させたいとの意欲を示した。リトアニアはバルト海に面し地理的に恵まれた立地であり、不凍港(クライペダ港)、発達した鉄道・高速道路網、4つの国際空港を擁するなど、ロジスティクス面で大きな強みがあることから、進出企業には競争力の高いビジネス環境を提供できると述べた。清水部会長から日EU EPAの重要性に鑑み、早期実現への支持を求めたところ、グロウジニエネ議長は、EPAが締結された暁にはこれを積極的に活用し、食料品はじめリトアニアのさまざまな製品を日本に輸出したいと述べた。
ロカス・マシウリス・エネルギー大臣は、原子力発電所建設プロジェクトにおける日本企業の協力に謝意を述べた。同大臣は、昨年バルト三国のなかで初めてLNGターミナルを建設するなど、リトアニアがLNG分野で地域のリーダーを目指している旨を紹介しつつ、水力発電、太陽光発電等、各種エネルギー・プロジェクトの発展に向けて、高い技術を有する日本企業との連携に期待を表明した。
【国際経済本部】