経団連の観光委員会(冨田哲郎委員長、菰田正信委員長)は10月21日に立教大学、11月4日に首都大学東京と「経団連観光インターンシップ産学合同報告会」を開催した。同委員会では、2011年から立教大学、14年から首都大学東京と連携してインターンシッププログラムを実施、より高度な観光人材の育成に取り組んでいる。報告会は、同プログラムの一環として、企業等から派遣された講師による座学、派遣先での10日間の職業実習とあわせて実施しているもの。同プログラムに参加した学生は、経団連会員企業・団体の役職員、大学教員らを前に、職業実習の成果・今後の課題等についてプレゼンテーションを行うとともに、参加者と意見交換した。両日あわせて、総勢約180名が参加した。
立教大学の報告会で、冨田委員長は、「観光は、交流人口拡大による地域活性化、幅広い産業への波及効果、海外との草の根交流による外交基盤の強化など多くの役割を担っており、戦略的に取り組むべき課題。インバウンドが今年1900万人に達する勢いで成長するなか、現場を支え、観光戦略を策定できる人材の育成が不可欠」と述べ、同プログラムの意義と経済界の期待を示した。
大学側からは、立教大学観光学部の毛谷村英治学部長が、「観光が成長することによって社会に生じる弊害をみつけ、それを克服する仕組みをつくり出せる人材育成を目指している。本インターンシップをその機会に役立てたい」とコメント。首都大学東京都市環境学部の清水哲夫教授は、「本学では観光分野を理系のなかに位置づけ、科学的アプローチから調査・研究している。本インターンシップを通して、学生には経営の視点も学んでほしい」と述べるなど、同プログラムへの期待を表した。
報告会では立教大学21名、首都大学東京10名の学生が、実習での目標と具体的成果、今後の自身の課題などについて発表した。意見交換時には、受け入れ先企業を中心に講評や質疑が行われ、プレゼンテーションの仕方や資料作成での工夫などにもアドバイスは及んだ。
学生からの報告を受けて、今泉典彦観光委員会企画部会長は、「今後も、国が目指す観光立国の視点、地方創生の視点、企業経営の視点など、広い視野をもって物事をとらえるよう心がけるとともに、実習を通して得た経験と反省を広く学生の間で共有してほしい」と学生たちにエールを送った。
経団連は、同インターンシップの提携先の拡充を含め、観光立国実現に向けた高度人材の育成に積極的に取り組むこととしている。引き続き関係企業の皆さまにご協力をいただきたい。
▽インターンシップ受け入れ先企業14社(五十音順)
アサヒビールコミュニケーションズ/味の素/ANA総合研究所/近畿日本ツーリスト/鉄道博物館/東京モノレール/日本ホテル/博報堂/びゅうトラベルサービス/三井不動産商業マネジメント/三井不動産ホテルマネジメント/三菱UFJニコス/森トラスト・ホテルズ&リゾーツ/ヤマト運輸
【産業政策本部】