経団連の日本ベトナム経済委員会(高橋恭平委員長、中村邦晴委員長)では2日から3日にかけて、44名で構成されるミッションをベトナム・ハノイ市とダナン市に派遣した。今回のミッションは、日本とベトナムの経済協力の深化を目的に、ベトナムにおけるビジネスの拡大や多様化に向けた具体的な議論をするために派遣したもの。
初日のハノイでは、午前中に計画投資省をはじめとするベトナム政府との会合を開催し、工業化戦略の推進、裾野産業の育成、農業分野等における協力について議論するとともに、日本企業がベトナムで事業を推進するうえでの課題を伝え、その改善を求めた。ベトナム側議長のズン計画投資副大臣はじめ商工省、財務省、農業農村開発省などの担当部局の幹部からは、日本側が伝えた課題への対応状況や改善に向けた方針が示された。
また、午後にはベトナムの計画投資省、在ハノイ日本国大使館の各幹部出席のもと、ベトナムのビジネス環境整備を目的とする「日越共同イニシアティブ」の第6フェーズ準備会合を開催し、(1)労働(2)賃金(3)運輸(4)サービス(5)中小企業支援――の5つのワーキングチームを立ち上げることを合意した。あわせて、それぞれのワーキングチームにおいて、現状の問題点や具体的な改善策を盛り込んだ行動計画の策定に向けた意見交換を行い、実質的な活動を開始した。
その後、ハイ副首相、ヴィン計画投資大臣を表敬訪問し、上記会合を成功裏に終えたことを報告するとともに、日越経済協力の深化について意見交換を行った。どちらの懇談においても、長年にわたる経団連の活動に対する高い評価と、ベトナム政府としてビジネス環境の改善に引き続き取り組むとの強い決意が示された。
翌3日にはダナン市を訪問し、ダナン市人民委員会との懇談と現地視察を行った。ダナン市は東西経済回廊の東側玄関口に位置しており、今年末のASEAN経済共同体(AEC)の発足や、先月、関係12カ国による交渉が大筋合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の発効を見据えて、その重要性がますます高まっている。
ダナン市人民委員会との懇談では、ヴィエット副委員長から、ダナン市の投資環境に関する詳細な説明があり、日本企業の進出に対する強い期待が表明されたほか、現地視察では、ホアカイン工業団地にあるマブチモーターダナン社やダナンハイテクパークを訪問し、ビジネス環境の現状を確認した。
◇◇◇
なお、10日には、来日中のダナン市人民委員会のトー委員長との懇談を経団連で開催し、ダナン市への投資誘致について、意見交換も行っている。日本ベトナム経済委員会では、今後もこうしたベトナム官民要人との懇談やミッションの派遣などを通じ、日越経済関係の強化に取り組んでいく。
【国際協力本部】