2000年11月のIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)の制定以降、ネットワークインフラの高度化が進み、インターネットを通じた経済活動が国民にとって不可欠なものとなった。こうしたなか、マイナンバー法の施行や改正個人情報保護法の成立により、データ利活用への新たな取り組みが期待されている。とりわけマイナンバー制度は行政機関間での情報連携や事務の簡素化などにつながるだけでなく、将来的に民間分野における利用が拡大すれば、国民生活の利便性向上にもつながる。
一方で現行制度は利活用に配慮しつつ保護を目的とする枠組みであることから、データ利活用と電子化推進による生産性向上を図るための新たな法制整備が不可欠である。
そこで経団連は、デジタル社会の推進に向けていま必要な施策を取りまとめ、17日に「マイナンバーを社会基盤とするデジタル社会の推進に向けた提言」として公表した。
1.マイナンバー制度の民間利活用
マイナンバー制度の利活用策を、次の3つの視点から提案している。
- (1)生産性向上=マイナンバー制度を活用して各種手続きを電子的に完結できるよう整備し、紙媒体にかかる人件費や保管費の軽減などを図るべき。
- (2)管理コストの適正化(負担軽減)=マイナンバーの記載が不要なものは、任意記載として負担を軽減すべき。
- (3)新事業、新サービス―個人番号カード搭載の公的個人認証機能やアプリ等を用いて、新事業、新サービスの創出を促すべき。
2.紙から電子へ
手続きの原則を紙から電子へ転換し、社会の効率化と競争力の強化を図る必要がある。
3.パーソナルデータの利活用促進
来年1月設置の個人情報保護委員会がデータの保護と利活用両面を踏まえた取り組みを行い、官民の個人情報保護行政を一元的に担うことにも期待する。
4.サイバーセキュリティ対策の強化
デジタル社会の前提としてサイバーセキュリティの確保は重要。重要インフラ対策や官民の連携強化、企業の自主的取り組みが必要である。
5.社会実装の高度化を促す施策
生体認証の利用促進や国・地方・省庁横断的なITSインフラ整備など社会実装の高度化を促すべきである。
経団連として、引き続き会員企業に対し、電子化推進策に関する要望を募り、随時関係方面への働きかけを行っていく。
※提言の全文は経団連ウェブサイトに掲載
【産業技術本部】