経団連(榊原定征会長)は20日、「規制改革の今後の進め方に関する意見」を公表するとともに、関係方面に建議した。
わが国はデフレ脱却、経済再生の正念場にあり、人口減少・超高齢化社会等の構造的課題も山積している。このようななか、成長戦略を着実に実行し経済を本格的な成長軌道に乗せることが不可欠である。とりわけ規制改革は成長戦略の中核をなし、民間活力・創意工夫の発揮によるイノベーション創出の源泉となる。昨年1月に安倍首相は、「今後2年間で残された岩盤規制をすべて打ち抜く」と宣言し、健康・医療、雇用、農業等の分野をはじめ積極的に改革に取り組んでいるが、改革の意図が最後まで徹底しない事例や改革の途上にある項目も少なくなく、日本再興に向けては道半ばにある。
そこで経団連では、安倍首相の宣言からまもなく2年を迎え、これまで改革を主導してきた規制改革会議の設置期限である来年7月まで1年を切ったことから、今後の規制改革の方向性と推進体制のあり方を示し、政府による継続的な改革を促すこととした。
■ 基本的方向性と重点領域
規制は、その時々の技術や社会環境の変化に応じて常に見直されなければならない。将来の産業・社会のあり方を見据え、新しい時代にふさわしい規制・制度を再構築すべきである。この基本的方向性を堅持したうえで、従来からの課題である農業・観光、雇用・労働、健康・医療、エネルギー、防災・減災等の分野における規制改革はもとより、(1)IoT(Internet of Things)や人工知能、ロボット等の技術革新を先取りした規制の改廃・ルール策定の実施(2)ICTやマイナンバー等を所与とした業務改革の推進(3)国際的なイコールフッティングの観点からの国内規制の見直しや規制面での国際協力・標準の策定のリード――等を重点的領域として取り上げた。
■ 推進体制のあり方
そのうえで、規制改革の推進体制を一層強化するため、(1)現行の規制改革会議が果たしている役割の重要性に鑑み、設置期限後に後継機関を遅滞なく設置すること(2)許認可等の規制が1万4000以上ともいわれるなか、規制当局が自律的に見直しを行う仕組みを構築すること(3)地方自治体の条例や許認可等がビジネスの障害になっている現状を踏まえ、自治体レベルでの規制改革の推進等に取り組むこと――等が必要としている。
■ 経済界の取り組み
経団連としては、現場の改革ニーズに基づく規制改革要望の取りまとめならびに内閣府規制改革推進室への人的協力を実施し、自由で円滑な事業環境の整備に向けた政府の取り組みを後押ししていく。
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※詳細は経団連ウェブサイトに掲載
【産業政策本部】