経団連は9月24日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会企画部会(中谷義昭部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。文部科学省研究開発局宇宙開発利用課の堀内義規課長から宇宙航空分野における平成28年度概算要求、谷広太宇宙利用推進室長から国際宇宙ステーション等への取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 平成28年度概算要求
わが国の宇宙開発利用体制として、宇宙基本法に基づいて総理大臣を本部長とする宇宙開発戦略本部が設置されており、今年1月に同本部が新たな宇宙基本計画を決定した。
内閣府が宇宙政策の司令塔機能、文部科学省、内閣官房、総務省、防衛省などがそれぞれ役割を担っており、文部科学省はロケット・衛星、技術開発、宇宙科学等を担当している。平成26年度補正予算および平成27年度当初予算額における政府全体の宇宙関係予算は3245億円で、そのうち文部科学省の予算は1824億円であった。
宇宙航空分野における平成28年度概算要求額は1912億円であり、このうち1907億円が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の予算となる。
宇宙・航空分野の研究開発には3つの柱がある。第1は、安全保障・防災/産業振興への貢献である。まず、2020年度の試験機1号機の打ち上げに向けてH3ロケットの試験等を実施する。また、新規要求として、次期技術試験衛星や先進レーダ衛星の基本設計を行う。
第2は、宇宙科学等のフロンティアの開拓である。例えば、宇宙ステーション補給機(HTV)の開発等を進める。
第3は、次世代航空科学技術の研究開発である。具体的には、航空機の安全性等を向上させる技術が挙げられる。
■ 国際宇宙ステーション等
昨年1月、米国が国際宇宙ステーション(ISS)の運用を2024年まで延長することを提案した。
これを受けて文部科学省が設置したISS・国際宇宙探査小委員会が同年7月に「中間とりまとめ」を発表、これまでの成果を踏まえ、費用対効果を向上させることに留意しつつ、継続参加が適当であるとした。
今年1月の宇宙基本計画では、総合的に検討し、2016年度末までに結論を得ると記述されている。
すでにロシアやカナダが延長への参加を表明しており、7月に同委員会が発表した「第2次とりまとめ」では、2024年までわが国は引き続き参加していくことが適当であり、HTVを改良したHTV‐X(仮称)の開発などにより、費用対効果を一層向上させることに留意するとした。
一方、政府の宇宙政策委員会が8月に公表した見解では、国際宇宙ステーションについて、新たな日米協力の構築、アジア諸国との連携強化、宇宙政策の推進、国際競争力の強化について検討するとされている。
【産業技術本部】