経団連(榊原定征会長)は9月9日、東京・大手町の経団連会館で太田昭宏国土交通大臣との懇談会を開催した。国土交通省からは太田大臣、北川イッセイ副大臣、西村明宏副大臣をはじめ幹部ら25名、経団連からは榊原会長、岩沙弘道審議員会議長をはじめ、副会長、関係委員長ら22名が出席した。
冒頭、榊原会長は、今年1月に公表した経団連ビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生」で2030年に目指すべき国家像として掲げた「豊かで活力ある国民生活を実現する」「人口1億人を維持し、魅力ある都市・地域を形成する」「成長国家としての強い基盤を確立する」「地球規模の課題を解決し世界の繁栄に貢献する」の4点は、いずれも国土交通行政との関わりが深く、企業活動をスムーズに行っていくうえでも国土交通省からのサポートは欠かせないと発言。これに関連し、(1)社会資本の効率的な利活用に向けて産業界のニーズをくみ取った計画的な整備(2)成長戦略の観点から大都市の国際競争力の向上や観光振興、インフラシステム輸出の推進などの着実な進展(3)建設・物流分野をはじめとした担い手不足への対応――を求めた。
続いて、太田国交相が「これまで公共事業はフロー効果に注目されがちであったが、首都高速中央環状線全線開通による渋滞緩和や、圏央道沿線の工場立地の増加、北陸新幹線開通による人の往来の増加など、成長につながる社会資本整備によるストック効果が目にみえるかたちで広がってきている」と指摘。「社会資本整備は『見落とされてきた日本経済のエンジン』であり、経済成長や生活の質の向上に資する事業に重点化していきたい」との考えを示した。また、「近年では雨の降り方が局地化・集中化・激甚化し、被害も拡大している。国土交通省としては、こうした自然災害リスクにも対応し、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化向けの予算を全体の5割強確保している」「インフラシステム輸出や観光振興といった成長分野、担い手不足の問題については、引き続き経済界と連携・協調して進めていきたい」との発言があった。
その後の意見交換では、2020年のオリンピック・パラリンピックを見据えた、東京をはじめとした大都市への戦略的な投資や、高速道路における自動運転の普及、担い手不足への対応、鉄道をはじめとしたインフラシステム輸出促進のための官民連携の強化など、多岐にわたるテーマについて活発な議論が行われた。
【産業政策本部】