経団連は14日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会デジタル社会推進部会(五十嵐芳彦部会長)を開催し、個人番号カード(ICカード)を活用したオンライン取引等の可能性などについて、総務省自治行政局の上仮屋尚住民制度課企画官兼外国人住民基本台帳室長と意見交換を行った。
冒頭あいさつした五十嵐部会長は、「個人番号カードを用いた読み取り機能はマイナンバー収集時の事務効率化につながる。将来的に個人番号カードを活用したサービスが提供され、国民の利便性向上や企業の生産性向上につながることへの期待から関心を持つ企業は多い」と述べた。
上仮屋氏の説明の概要は次のとおり。
■ 個人番号カードを活用したオンライン取引等の可能性
今年10月から12月にかけて全国民にマイナンバーを通知する際、個人番号カードの交付申請書を同封し、申込者には来年1月以降無料で交付する。個人番号カードを取得することにより、(1)個人番号の証明(2)公的な身分証明(3)付加サービスを搭載した多目的カードとしての利用(4)行政手続のオンライン申請(5)民間のオンライン取引(6)コンビニ等での各種証明書の交付――などの利便性が高まることを想定している。
例えば、個人番号カードを利用した住民票、印鑑登録証明書、戸籍謄本等のコンビニ交付の利用対象人口について、2016年度中に6225万人(現在の約3倍)を超えることを目指す政府方針を掲げている。このため、個人番号カードを多数の国民が取得することが期待される。
また、個人番号カードを活用する公的個人認証サービスは、オンラインでの行政手続等における本人確認のための公的サービスとして2004年から提供されてきたが、来年1月から総務大臣の認定を受けた民間事業者も利用できるようにする。個人番号カードのICチップには、このサービスの利用に必要な署名用電子証明書(電子版の印鑑登録)と利用者証明用電子証明書(電子版の顧客カード)が搭載され、成りすまし・改ざんを防ぎ、高いセキュリティを確保している。そのため、(1)安価で迅速な顧客登録(2)顧客情報の異動状況の把握(3)確実な本人確認(4)顧客カードの代替――などの民間利用が可能である。オンライン取引等の基盤として多様な業種の多数の事業者に利用してもらえるよう、手数料は十分に低廉な水準とすることを検討している。
政府は、個人番号カードの普及促進のため、国家公務員身分証や行政機関が発行する各種カードとの一体化、健康保険証としての利用などを推進する。また、公共サービスがワンストップで受けられる社会の実現に向け、安全・安心を前提としたマイナンバー制度の利活用を検討していく。
【産業技術本部】