青森県六ヶ所村に立地する「むつ小川原(おがわら)開発地区」の開発は、1970年代以降国家的なプロジェクトとして推進されてきた。国家石油備蓄基地や原子燃料サイクル施設、風力発電施設のほか、核融合や環境技術などの研究開発施設の立地も進み、近年、総合的なエネルギー基地としての発展が著しい。
経団連はかねて同地区の開発推進にかかわってきており、現在は、むつ小川原開発推進委員会を中心に、事業主体である「新むつ小川原株式会社」への支援を行っている。その一環として10日、同地区に対する会員企業の理解を深め、今後のエネルギー政策や研究開発のあり方などを考えることを目的として、未来産業・技術委員会とむつ小川原開発推進委員会の合同で、現地視察会を開催した(団長=内山田竹志副会長・未来産業・技術委員長)。視察会には、原子力やエネルギーに関係の深い企業を中心に10社から12名が参加した。
■ 視察の概要
視察では、午前中に日本原燃の六ヶ所原燃PRセンターと再処理工場を見学するとともに、日本原燃と意見交換を行った。内山田副会長は「実際に現場を見ることで、原子力発電や発電後の処理に関する理解がより深まった。エネルギー問題に関して、自国でできることは自国で行うことが大切だ」とコメント。日本原燃からは「わが国のエネルギー自給率は6%にすぎない。社員は日本のエネルギー政策を担う気概をもって仕事をしている。ようやく再処理に関する技術的な課題が解消され、来年3月の原子燃料サイクル稼動開始を目指している」との発言があった。
同日午後には、花き工場に加え、メガソーラーや風力発電蓄電池施設、国家石油備蓄基地、国際核融合エネルギー研究センターなどを視察した。
■ 青森県・六ヶ所村との懇談
昼食時には、青森県の佐々木郁夫副知事や六ヶ所村の戸田衛村長を交えて懇談した。佐々木副知事は「青森県では企業立地に関しさまざまな支援策を準備しており、今回の視察会が今後の企業立地につながるきっかけになることを期待したい」とあいさつ。戸田村長は「六ヶ所村はエネルギー関連施設などの集積が進展しており、今後は再生可能エネルギーからの水素の製造に大きな関心を持っている」と発言した。これを受けて内山田副会長は「イノベーションが地方創生のカギを握る」として、総合的なエネルギー基地としての同地区の発展に期待を示した。
【環境本部】