経団連(榊原定征会長)は13日、東京・大手町の経団連会館で第6回アジア・ビジネス・サミットを開催した。同サミットは、アジアの主要国・地域の経済界のトップが一堂に会し、アジアが抱える共通の課題について意見交換を行い、各国政府に政策提言を行うことを目的に、経団連の提唱により発足、2010年から毎年開催されている。
今回は第1回、第2回に続いて、経団連が主催し日本で開催された。当日は11の国・地域から13の経済団体(注)の首脳が参加して、各国の経済情勢、地域経済統合、人材育成、インフラ整備、環境、経済安全保障について白熱した意見が交わされた。討議の結果を受けて共同声明を取りまとめた。
レセプションには安倍晋三総理大臣が来席、榊原会長から共同声明を手交した。
■ 共同声明の概要
当日の討議を受けて取りまとめられた共同声明の概要は以下のとおり。
(1)アジアが持続的な経済成長を果たしていくため、本年末のASEAN経済共同体(AEC)の発足を成功裏に進めるとともに、日中韓FTAや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)等の経済連携協定を早期に実現し、最終的にアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)へとつなげていくため、各国が連携する必要がある。
(2)アジアがイノベーションを通じて高付加価値の製品や新たなビジネスモデルを創出していくため、高度人材の育成・確保と、これら人材の国を超えた自由な交流を促す環境整備が求められる。
(3)アジアの安定成長の基盤となるインフラ整備を進めるため、公的資金と民間資金の調達メカニズムの整備、各国の国内法の整備や改善を通じた投資環境の整備を進めるべきである。
(4)地球温暖化問題の解決に向けて、アジア各国・地域が連携して、環境保全と経済成長の両立に向けた取り組みを強化する必要がある。
(5)資源・エネルギー、食料、治安等の経済安全保障上の諸課題について、アジア各国・地域が、資源・エネルギーの共同開発やエネルギー融通、食料生産の持続的拡大に向けた研究開発、テロ等の脅威からの安全確保などさまざまなかたちで協力していくべきである。
■ 今後の対応
今後、共同声明に盛り込まれた事項の実現のため、今年11月のAPEC首脳会議(フィリピン)等に向けて発信するなど、アジアの経済団体と連携を図る。
次回のアジア・ビジネス・サミットは、シンガポール経団連の主催によりシンガポールで開催される。
(注)経団連、中国企業連合会、中国国際貿易促進委員会、インド工業連盟、インドネシア商工会議所、全国経済人連合会(全経連、韓国)、マレーシア日本経済委員会、比日経済委員会(フィリピン)、シンガポール経団連、東亜経済会議台湾委員会(台湾)、工商協進会(台湾)、タイ商業・工業・金融合同常任委員会、ベトナム商工会議所
※共同声明の全文は、http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/066.html を参照
【国際協力本部】