経団連は6月17日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会(山内隆司委員長)を開催した。内閣官房総合海洋政策本部事務局の加藤由紀夫事務局長から、海洋基本計画と今後の海洋政策について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 海洋政策の推進体制
政府は、海洋基本法に基づき総合海洋政策本部(本部長=内閣総理大臣)を設置し、昨年4月に閣議決定された海洋基本計画に基づいて、各種施策を実施している。
また、海洋政策の重要事項について審議し、総合海洋政策本部長に意見を述べるため、有識者10名で構成される参与会議(座長=宮原耕治前副会長)が設置されている。参与会議は5月26日、4つのプロジェクトチームの検討を踏まえて意見書を取りまとめ、宮原座長から山谷えり子海洋政策担当大臣に意見書を手交した。
■ 海洋エネルギー・鉱物資源
海洋エネルギー・鉱物資源については、石油・天然ガス、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアースの調査や開発等を進めている。メタンハイドレートについては、昨年3月に海洋産出試験が行われ、10月にはメタンハイドレートの調査を行う民間企業が設立された。
海洋再生可能エネルギーについては、福島県沖や長崎県五島沖などで洋上風力発電の実証実験などを行っている。また、5県の7海域を海洋エネルギーの発電の実証実験を行う「実証フィールド」に指定した。
■ 海洋産業の振興
今後、世界で海底からの石油や天然ガスの生産が増加し、海洋開発用の船舶・海洋構造物等の市場が拡大していく。昨年8月には、わが国とブラジルは海洋資源開発の協力を推進することで一致し、日本の造船企業がブラジルで技術の向上を目指している。また、わが国の海運事業者は、洋上での石油の生産・貯蔵を行う事業に参画している。
■ 大陸棚の延長、離島の保全・管理
大陸棚については、2012年4月に国連大陸棚限界委員会から勧告が出され、約31万平方キロメートルの大陸棚の延長が認められた。昨年7月に大陸棚の延長に向けた今後の取り組み方針を策定し、10月に施行された政令で、その一部である2つの海域の大陸棚の範囲を定めた。
離島の保全・管理に関しては、特定離島に指定した沖ノ鳥島と南鳥島の港湾施設の整備を進めることとしている。また、昨年8月には、158島に名称を付与した。
■ 海洋関連予算
平成27年度海洋関連予算は約1兆2000億円である。
【産業技術本部】