経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会総合部会(長澤仁志部会長)を開催した。経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部政策課の高倉秀和企画官から、海洋エネルギー・鉱物資源開発の現状と課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ わが国のエネルギー供給
過去40年間のわが国のエネルギー供給において、石油が大きな割合を占めるなか、近年天然ガスの供給量が増えてきた。また2000年代のエネルギー自給率は約20%であったが、2011年以降は原子力発電所が停止したため、12年には6.3%まで低下した。2030年のエネルギー需給見通し(案)では、エネルギー需要を徹底した省エネによって現在より13%程度減らす一方、一次エネルギー供給の自給率を再生可能エネルギーや原子力により24.3%まで改善することを目指している。わが国として、自給エネルギーを増やしていくのが基本方針である。
■ メタンハイドレートの開発
メタンハイドレートとは、メタンガスと水が低温・高圧の状態で結晶化した氷状の物質である。海底面下数百メートルの地層中に存在する砂層型メタンハイドレートと、海底の表面に存在する表層型メタンハイドレートの2つがある。
東部南海トラフに存在する砂層型については、平成30年代後半に商業化プロジェクトが開始されるよう技術開発を進める。13年3月に行った第1回の海洋産出試験では、6日間で合計12万立方メートルのメタンガスを生産したが、海底から吸い上げる装置に砂が入るトラブルが起きた。今年度は、17年3月ごろに実施予定の長期の産出試験に向けて技術課題を克服する。
日本海側に存在する表層型については、13年度から3年間かけて資源量を調査している。今年度は上越沖と隠岐周辺を集中的に調査する。
■ 海底鉱物資源の開発
海底熱水鉱床とは、銅、鉛、亜鉛、金、銀などの金属で生成された鉱床である。14年12月と今年1月に、沖縄付近の2カ所で鉱床が発見された。17年度までに採鉱の技術を開発し、海底から船上まで鉱石を引き揚げることを目標としている。
コバルトを豊富に含むコバルトリッチクラストは、南鳥島の排他的経済水域の外側の公海に鉱区がある。昨年に国際海底機構と結んだ協定に基づいて、探査を開始したい。マンガン団塊については、01年に国際海底機構から承認されたハワイ沖の探査鉱区の期限が16年であるため、調査を継続したい。
レアアースは南鳥島沖の周辺に存在し、13年度から資源量を調査している。
【産業技術本部】