経団連は3日、東京・大手町の経団連会館でドイツ航空宇宙センター(DLR)との懇談会を開催した。下村節宏宇宙開発利用推進委員長が司会を務め、DLRや同国の宇宙関係企業・団体の事業について説明を聞くとともに、日独宇宙産業協力の推進に向けて懇談した。同センターとの懇談会は昨年6月に続き2回目となる。概要は次のとおり。
■ ドイツ航空宇宙センター(DLR)の活動=ゲルッド・グルッペ氏
ドイツと日本の産業界は長く協力関係にあり、宇宙事業におけるパートナーである。両国の協力を強化するため、DLRは2年前に日本に事務所を設けた。
DLRは政府機関として、宇宙に関する計画を策定し、さまざまな戦略を実施している。また、ドイツの宇宙関係機関の代表であり、ESA(欧州宇宙機関)、米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携している。今年7月1日にDLRの理事長であるディートリヒ・ウェルナー氏が欧州宇宙機関の理事長に就任する。
現在、DLRは中小企業がつくる部品の競争力向上や、宇宙分野などの技術移転にも取り組んでいる。
■ ドイツ航空宇宙工業会(BDLI)の概要=ステファン・ヘッス氏
BDLIにはドイツの航空宇宙産業222社が加入している。約10万6000人がドイツ国内の航空宇宙産業で雇用されており、そのうち民間航空が約7万5000人、防衛・安全保障関係が約2万3000人、宇宙関係は8500人である。航空宇宙産業の総売上高321億ユーロのなかで、宇宙関係の売上高は約25億ユーロである。
これまでドイツの企業がESAの発展を支えてきたが、今後はヨーロッパだけでなく、アジアや日本との協力関係を強化したい。
■ 宇宙関係企業・団体
(1)エアバス・ディフェンス・アンド・スペース
当社はヨーロッパの宇宙関係の主要企業であり、宇宙関係の大半の機器を扱っているが、日本とはレーザー通信などの分野で今後協力をしていきたい。(2)イエナー・オプトロニク
当社の事業分野は宇宙で使うセンサーや地球観測装置が中心である。ESAとJAXAが共同開発しているセンサーは、日本のHTV(宇宙ステーション補給機)に使われている。
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このほか、テーサット(宇宙通信)、アストロ―ファイン(宇宙システム統合)、フラウンホーファー研究機構(応用研究)から、各社・団体の事業について説明があった。
【産業技術本部】