経団連は4月10日、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(以下「ひな型」)を改訂し公表した。
本号では「退職給付に関する会計基準」に係る規定の強制適用に伴う経団連ひな型の改訂点について紹介する。
■ 「退職給付に関する会計基準」に係る規定の強制適用に伴う経団連ひな型の改訂
企業会計基準委員会(ASBJ)による退職給付会計基準の改正(改正2012年5月)と、それに伴う会社計算規則の改正(13年5月)を受けて、13年12月に経団連ひな型を改訂した。
ここで、退職給付見込額の期間帰属方法については、「期間定額基準」と「給付算定式基準」のいずれかの方法を選択適用することとなったが(退職給付会計基準第19項)、当該規定は、14年4月1日以降開始する事業年度の期首からの強制適用であり、ひな型には必要最小限の注記を行う観点から、13年12月のひな型の改訂では、個別注記表には特段の追加の記載は行わず、連結注記表においても、記載上の注意において記載例を示すにとどめた。
しかしながら、当該規定が、14年4月1日以降開始する事業年度の期首から強制適用となることから、今回のひな型の改訂で所要の見直しを行った。
まず、個別注記表では、「2-3.引当金の計上基準」の記載例の記載上の注意において、「退職給付引当金に関する計上基準の記載に際しては、『期間定額基準』と『給付算定式基準』の記載の要否について、各社において適切に判断する」旨を記載した。すなわち、各社が会計方針に重要性があると判断すれば、いずれの会計方針を選択したかを明記することが考えられる。
連結注記表においては、「2-3-(4).その他連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項」の記載例の(3)のタイトルを、「退職給付に係る負債の計上基準」から「退職給付に係る会計処理の方法」へと変更するとともに、前回記載上の注意で示した記載例を、本文へと移した。例えば、「退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております」といった注記を行うことが考えられる。
【経済基盤本部】