経団連は19日、「日本の国際競争力調査」の結果を公表した。同調査は、日本企業の競争力やビジネス環境を主要国と比較・分析し、今後の政策立案に供することを目的に、今年1月から3月にかけて会員企業を対象に実施。273社から回答を得た。調査結果の概要は次のとおり。
■ 日本企業の国際競争力
グローバル市場における自社の競争力の現状評価は、「平均以上の競争力を有している」との回答が7割を超え、3年後の競争力の見通しについても「現状と同等以上の競争力を有している」との回答が8割以上に上った。
また、競争力の源泉となる自社の強みは、「製品・サービスの性能・品質」が最も多く、「研究開発・技術」「アフター・サービス」と続いた。一方、競合企業の強み(=自社の弱み)は、「開発・生産コスト」「マーケティング・販売」「ビジネスモデル」の順となった。
今後の競争力強化に向けては、「製品・サービスの性能・品質」の向上、「開発・生産コスト」の削減、「ビジネスモデル」の強化が挙げられ、各社が強みを一層強化するとともに、弱みの改善に注力する姿勢がうかがえる。
■ 日本のビジネス環境
2014年の1年間で改善した分野については、6割を超える企業が「為替水準」を挙げ、「政治システム」「マクロ経済環境」がそれに続いた。今後必要なビジネス環境の改革では、「税・社会保障負担」のさらなる低減、「労働市場改革」「規制改革」など、六重苦(注)の残された課題の克服とともに、「外国人の受入れ体制」の整備や「国内市場」の拡大を含む声が多い(図表参照)。
■ 事業活動の立地判断
昨年1年間におけるわが国企業の投資状況をみると、アジア諸国の生産・販売拠点を中心に、依然として海外を中心に投資が行われている。他方、わが国のビジネス環境の改善と相まって、「既存施設の国内移転」や「国内での施設の新設」等、国内回帰の端緒がみられる。
また、今後も日本に残すべき機能としては、「経営・統括」「研究・開発」などコアな部分が多く、その理由として、「国内の研究・開発基盤の強さ」「国内需要への対応」「国内の人材の豊富さ」等が挙げられた。
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経団連では今回の調査結果も踏まえ、産業競争力強化や立地環境の改善について検討を深めるとともに、引き続きわが国および企業の競争力の把握に努めていく予定である。
(注)六重苦=(1)円高(2)重い法人税・社会保険料負担(3)経済連携協定の遅れ(4)柔軟性に欠ける労働市場(5)不合理な環境規制(6)電力供給不足・コスト高
※調査結果の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/049.html 参照
【産業政策本部】