経団連の日本・香港経済委員会(芦田昭充委員長)は3月23、24の両日、香港で第34回日本・香港経済合同委員会を開催した。日本側から芦田委員長はじめ17名、香港側からジョナサン・チョイ香港・日本経済委員長ら22名が出席し、昨年8月から2カ月以上続いた民主派・学生等による中心部占拠の香港経済への影響と金融や物流を中心とする日本と香港の協力の展望等について意見交換した。
■ 香港経済の見通し
合同委員会では、まず香港側が、(1)香港・中国経済(2)民主派・学生等による占拠の経済影響(3)中国資本市場自由化のなかでの香港の役割――について報告。
(1)中国経済は「新常態」に入り、緩やかな成長に向かうものの、都市部のサービス産業で1千万人を超える雇用を創出し、消費も手堅いことから、先行きについては楽観視している(2)民主派・学生等による占拠の経済影響については、79日間続いた占拠を平和裏に終結させたことは、香港の成熟さを示しており、中国へのゲートウェイである香港に安心して投資してほしい(3)中国資本市場自由化のなかでの香港の役割に関しては、すでに開始されている上海・香港株式相互取引制度(ストック・コネクト)で外国人が香港市場で中国銘柄を売買できる。新たに深セン市場にも拡大する予定である――などと説明した。
■ 日本・香港協力
日本・香港協力をめぐっては、香港側から、広東自由貿易試験区の投資優遇政策とサービス貿易の自由化を定めた、香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)を活用した協力の拡大などについて提案があった。
日本側からは、金融、物流分野における香港の重要性を再確認するとともに、中国の港湾の扱い高が拡大していることから、接続貨物物流のさらなる強化・効率性の向上を求めた。
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また、会議終了後の昼食会では、ゲストスピーカーの梁振英・香港特別行政区行政長官が講演。香港には(1)法の支配(2)香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)(3)中国市場への知見――があるとして、世界やASEANを仲介するスーパーコネクターとしての役割を強調した。
【国際協力本部】