経団連は11日、東京・大手町の経団連会館でOECD・BIACの活動に関する懇談会(座長=斎藤勝利OECD諮問委員会委員長)を開催し、OECDの諮問機関であるBIAC(Business and Industry Advisory Committee to the OECD)の最近の活動について、日本代表委員から報告を聞くとともに、外務省の齋木尚子経済局長から、OECDの意義について説明を聞いた。齋木局長の説明概要は次のとおり。
■ OECDの今日的意義
OECDは志を同じくする国の集まりであり、ルール形成およびシンクタンク機能を有するOECDの国際社会における存在意義は今日も変わらない。近年はこれに加えて、新興国の台頭や経済相互依存関係の深化を背景に、非加盟国へのアウトリーチ活動を推進することによってOECD加盟国との公平な競争条件を確保しようとしている。また、グローバル化の進展、規範意識の高まり、脅威・リスクや主体の多様化を背景に、新しいグローバルアジェンダや一国では対処できない課題についても分野横断的に取り組もうとしている。
■ わが国にとってのOECDの意義
わが国の経済力が相対的に低下するなか、国際的な秩序・ルールづくりをリードしていくには、OECDを通じて志を同じくする国々と協力することが重要である。昨年5月のOECD閣僚理事会において立ち上げた「東南アジア地域プログラム」は、わが国が東南アジアと一層結びつきを強めていくなかで、OECDもその過程に関与させようとするものである。
一方、経団連が「選択と集中」の必要性を指摘したように、国際環境の変化に対応して、OECDの活動が広がった結果、わが国にとってのOECDのメリットがみえにくくなっている感もある。
■ わが国経済界にとってのOECDの意義
経済・社会のグローバル化・ボーダーレス化が加速度的に発展した今、部品・中間財を活かした「メイド・ウィズ・ジャパン」製品を展開していくことが重要である。OECDは「付加価値貿易統計」や「サービス貿易制限指標」により、こうしたグローバル・バリューチェーンの重要性を明らかにしている。また、公平な競争条件の整備に関し、投資受入国の政策評価のチェックリストである「投資のための政策枠組み(PFI)」の改訂版を今年のOECD閣僚理事会に提出すべく作業中である。「税源浸食と利益移転(BEPS)」「外国公務員贈賄防止」にも取り組んでいる。さらに、企業の社会的責任が注目を集めるなか、「多国籍企業行動指針」「環境」「輸出信用アレンジメント」等に関するOECDの取り組みは、最終的にはソフトパワーとなって世界を指導していくものであり、わが国としても積極的にルールを提案する側に回ることが賢明である。
日本の経済界は、自らの声を国際的なルール形成に反映させるべく、BIACを引き続き積極的に利用していただきたい。OECDが日本のビジネスにとっても有益なものとなるよう、経団連とも連携しつつ、わが国としてOECDを積極的に「動かして」いく。
【国際経済本部】