経団連は17日、「海洋産業の振興に向けた提言」を公表した。政府の総合海洋政策本部参与会議では今月末を目途に、新たな海洋産業の振興や創出などに関する意見書を公表する予定である。そこで、経団連として、海洋資源・エネルギーの開発など海洋産業の振興に向けた提言を取りまとめた。概要は次のとおり。
■ 環境変化
海洋資源開発をめぐる環境変化として、次の2点が挙げられる。
第一に、世界的に資源・エネルギー獲得競争が激化しているなか、わが国の排他的経済水域や大陸棚に存在する海洋資源・エネルギーが有望視されていることである。
第二に、中国による海洋進出が継続し、わが国の海洋安全保障環境が緊張化していることであり、円滑な事業活動のためには、国家間の調整が必要な海域がある。
■ 海洋産業の振興に向けた取り組み
国内では、昨年4月の政府の海洋基本計画の工程表に基づき、次の五つの海洋資源・エネルギーの探査と開発を推進する必要がある。
- (1)メタンハイドレート=資源量の着実な探査や海洋産出試験の実施(平成30年代後半の商業化のプロジェクト開始が目標)
- (2)海底熱水鉱床=沖縄などの探査と開発の推進(平成30年代以降の商業化を目指したプロジェクト開始が目標)
- (3)コバルトリッチクラストおよびレアアース=南鳥島周辺などでの着実な探査
- (4)石油・天然ガス=日本近海での国による基礎試錐の継続的な実施などが重要
- (5)海洋エネルギー=洋上風力発電の海域実証試験を実施するため、地方自治体、民間企業、漁業関係者などが協調するシステムの整備
海外では商業ベースによる海洋の石油・天然ガス開発などが進んでおり、エンジニアリング企業は、海外企業との連携や買収などにより国際競争力を強化する必要がある。
また、政府のトップセールスにより、発展途上国などへのインフラパッケージ輸出も検討すべきである。
■ 海洋開発の基盤強化
まずは、政府の推進体制を強化するため、総合海洋政策本部が強力なリーダーシップを発揮すべきである。
加えて、海洋産業振興の戦略を策定する産学官協議会を設置し、海洋産業振興の主体の明確化、省庁連携の推進、商業化ロードマップの策定などをすべきである。
さらに、排他的経済水域等の管理・利用の法制度の整備、領海の警備体制の強化、技術者やオペレーターなどの人材育成の推進が必要である。
※提言の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/025.html 参照
【産業技術本部】