経団連のヨーロッパ地域委員会は2月26日、東京・大手町の経団連会館でブロニスワフ・コモロフスキ・ポーランド大統領一行との昼食懇談会(座長=佐藤義雄ヨーロッパ地域委員会共同委員長)を開催した。冒頭、佐藤共同委員長からは、日ポーランド経済関係の発展のためにも日EU経済連携協定(EPA)の年内大筋合意が不可欠として、大統領の理解と支援を求めた。コモロフスキ大統領の発言の概要は次のとおり。
民主化後25年間のポーランドの経済発展に日本からの直接投資は大きな役割を果たした。1990年代に比べてビジネス環境は改善しており、協力関係の一層の拡大に期待している。今回の来日で両国関係を戦略的なレベルに引き上げることができると確信している。
ポーランドは、ダイナミックで効率的な市場経済に移行し、最近20年間連続してプラス成長を実現してきた。また、グローバル規模の企業が誕生するなど新たな発展の可能性も生まれている。一方、経済成長を維持していくためには、イノベーションが必要である。この点、EU予算が拡充されていることがポーランドの研究開発にもよい影響を与え、長期的発展の基盤形成につながると確信している。ポーランドとしても、予算拡充のための法案を作成中である。日本企業の有する先端技術、経験・ノウハウも活用したい。
ご承知のとおり、経済特区は2026年まで延長されており、さらに今年1月には経済特区法が改正され、企業にとってより使い勝手がよくなっていると思う。政治の安定、高学歴・高資格の労働力、EU加盟国という要素もポーランドが提供できる優位性である。
日EU EPA交渉が近いうちに完了することを期待している。EPAが締結されれば、EU経済において確固たる位置を占めるポーランドと日本との経済関係にも大きな影響を与える。例えば、農産物・加工食品の対日輸出や日本からの火力発電関連技術の移転などの協力関係の発展が考えられる。
ユーロ導入は、EU加盟時にすでに決まっていたことだが、その後のユーロ圏の状況を踏まえて中断されている。ユーロ圏は健全な状況を取り戻しつつあるが、ユーロ導入に対する国内の支持は以前ほどではなくなっている。
また、ユーロ導入には憲法改正が必要という問題もある。今秋の総選挙終了後に国内で議論が活発になるものと想定される。いずれにしても、ユーロ導入に必要なマーストリヒト基準を満たすこと自体、ポーランド経済にとってよいことである。また、ユーロ圏に入らずしてEUの統合プロセスに完全には参加できないことを多くの政治家は認識している。
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懇談では、ポーランド側から、(1)自動車分野に加えて、今後はエネルギー、鉄道分野で日本企業との協力可能性がある(2)中小企業同士の協力関係を拡大する必要がある――との発言があった。
【国際経済本部】