インフラの老朽化への対応等が急務となるなか、政府においては、今年夏に策定予定の「国土形成計画」に合わせて、わが国の社会資本整備の基本方針である「社会資本整備重点計画」の見直しに向けた検討を進めることとしている。
そこで経団連は1月23日、東京・大手町の経団連会館で今後の社会資本整備のあり方に関する懇談会を開催し、瀧口敬二国土交通省総合政策局長から、社会資本整備重点計画の見直しの背景と方向性について聞くとともに意見交換を行った。
瀧口局長の説明概要は次のとおり。
■ 見直しの背景
景気・経済の再生、被災地の復興加速、防災・減災をはじめとする危機管理、地方創生といった内閣の重要課題を踏まえ、現在、国土交通省では、「国土形成計画」「社会資本整備重点計画」「交通政策基本計画」の三つの中長期的な計画の見直し・策定を行っている。
そのなかでも、社会資本整備重点計画は、社会資本整備事業の実施に関する重点目標や、目標達成のために実施すべき事業概要等を定めるものである。
現在の第三次計画は、2012年度から16年度までを計画期間とするが、(1)インフラの老朽化の加速(2)切迫する巨大地震および激甚化する気象災害(3)人口減少に伴う地方の疲弊(4)国際競争の激化――等、社会資本整備をめぐる状況の変化を踏まえ、昨年7月に策定した「国土のグランドデザイン2050」を具体化するため、現行計画を前倒しで見直すこととした。
■ 見直しの方向性
高度成長期以降、急速に整備されたインフラの老朽化が進行しており、適切な対策を講じなければ、維持管理・更新費が大きく膨れ上がるおそれがある。
そこで、メンテナンスコストを縮減・平準化し、インフラを賢く使いながら、投資余力を確保するための戦略的なインフラマネジメントが必要である。それによって、(1)安全・安心を確保するためのインフラによる災害リスク低減(2)生活を維持するためのインフラによる地域活性化(地域の拠点機能をコンパクト化するとともに、圏域人口を確保するためのネットワーク化を図る、「コンパクト+ネットワーク」の推進)(3)産業政策と連携したインフラ整備による競争力強化・地域経済の活性化――を実現しなければならない。
【産業政策本部】