国連気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)が12月1日から14日まで、ペルーのリマで開催され、2020年以降の将来枠組みのあり方等をめぐる交渉が行われた。そこで経団連の環境安全委員会(木村康委員長、徳植桂治共同委員長)は12月25日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、経済産業省の片瀬裕文産業技術環境局長から、COP20の模様や温暖化対策をめぐる動向について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 20年以降の国際枠組みについて議論
温室効果ガス削減に関する20年以降の国際枠組みに関しては、15年のCOP21で合意することを目指している。
COP19では、各国の数値目標を含む「約束草案」をすべての国がCOP21の相当前までに、準備可能な国は15年3月末までに提出することとされた。提出期限に関してはCOP20では新たな合意に至らず、15年10月1日までに各国が提出した約束草案の効果をまとめた資料を事務局が11月1日までに作成することとされた。
約束草案の目標年限については、25年を主張する米国や島嶼国等と、30年を主張するEU、中国、日本等が歩み寄らず、決定には至らなかった。
また、気候変動枠組条約に示されている「共通だが差異ある責任」原則の扱いも争点となった。途上国は先進国と途上国の約束草案の内容に差をつけることを明示すべきとしたが、先進国は約束草案の内容を各国が自主的に定めることで差異化は自ずと行われるとした。
交渉の結果、最終的に「15年合意において、各国の異なる事情を背景としつつ共通だが差異ある責任および各国の能力の原則を反映する」とすることで合意した。共通だが差異ある責任という表現に「各国の異なる事情を背景としつつ」という表現が加わったことは大きな変化といえるだろう。
■ 資金支援に関する議論
09年のCOP15では、途上国に対して20年に年間1千億ドルの資金支援を行うことが決定されている。途上国はこの長期目標に向けた道筋を明確にすることを求めていたが合意には至らず、先進国が隔年報告書に記載する支援に関する情報を増やすこととされた。途上国は先進国の約束草案に途上国への資金支援を盛り込むよう要求したが、先進国は約束草案に資金を含めることを義務づけるべきではないと主張し、合意に至らなかった。
また、途上国の排出削減や適応を支援する緑の気候基金への資金拠出が論点の一つとなるなか、わが国は11月に安倍総理が「国会で承認が得られれば、各国の拠出額を勘案しつつ最大15億ドルを拠出する」と表明している。こうした資金が効果的・効率的に活用され、優れた技術に対する支援が行われるよう政府としても取り組んでいく。
【環境本部】