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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年11月7日 No.3153 モリスBIAC税制・財政委員長と懇談 -税源浸食と利益移転(BEPS)で説明聞く

経団連は10月29日、東京・大手町の経団連会館でBIAC(OECD加盟国の経済団体からなるOECDの諮問機関)のウィリアム・モリス税制・財政委員長(GEインターナショナル グローバル租税政策ディレクター)との懇談会を開催し、税源浸食と利益移転(BEPS、Base Erosion and Profit Shifting)をめぐる議論の状況について説明を聞いた。

OECDは、一部の多国籍企業グループが節税のため、利益を合法的に国境をまたぎグループ内で移転し、実質的な事業活動を行う国における課税利益を減らしている現状を問題視し、今年2月に国際課税ルールの課題や対応策を報告書に取りまとめ、7月に具体的な行動計画を公表している。
モリス委員長の発言要旨は次のとおり。

BEPSは欧米の問題であると考えているかもしれないが、日本企業も影響を免れない。そのため欧米の一部の国だけで議論が行われることは望ましくなく、日本にも積極的に議論に貢献してほしい。企業の実態や果たしている機能について、政府にしっかりと理解してもらわないと、場合によっては不必要に幅広い解決策が提示されるおそれもある。

OECDのBEPSプロジェクトは現に始動しており、ルールの変更は不可避である。問題は、議論をどのように望ましい方向に落ち着かせることができるのか、ということである。今回の作業にはOECD加盟国のみならず中国、インド、ブラジルといった非加盟国も参加する。G20の枠組みで議論するので、幅広い合意が可能となるかもしれない。

OECDが7月に公表したBEPS行動計画には15の行動が盛り込まれている。成果物の取りまとめに至る期限が今後1年から1年半とされている項目でも、OECDにおける政策決定プロセスから逆算すると今年11月中には重要な意思決定が行われる可能性がある。経済界として意見表明を行うなら今しかない。

このうち、デジタル・エコノミーにおける課税のあり方を取り扱う項目(行動1)では、現代においては、すべての企業が何らかのかたちでネットを通じた取引を行っており、無関係ではいられない。日本にはハイテク企業が多く、積極的に議論にかかわるべきである。

また、移転価格文書化を取り扱う項目(行動13)では「(移転価格文書化について)開発されるべきルールには、多国籍企業に対し、グローバルな所得の配分、経済活動、諸国で支払われた税について必要な情報を共通のフォーマットで関係するすべての政府に提供することを求めるということが含まれる」とされている。これを受けて現在、OECDから公表されている文書化の白書では、今後多国籍企業は、そのビジネスの実態を示すマスター・ファイルと、個別の関連者間取引にかかるローカル・ファイルを準備することが提案されている。

移転価格文書化については、事務負担の軽減が目指されるべきところ、それに逆行する動きなのではないかとの指摘もある。また、今後、各国の政府が行動13を武器に、企業が今まで収集していないデータまで提供するよう求めてくるのではないかとの懸念も表明されている。日本企業も、移転価格文書化の負担や懸念について、政府、OECDに伝えるべきであると思う。

BIACは今後もBEPSプロジェクトにおいて経済界の代表として中核的な役割を担う。経団連は重要な団体であり、その見解は非常に貴重である。今後も協力いただきたい。

【経済基盤本部】

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