経団連の企業行動委員会女性の活躍推進部会(中川順子部会長)は21日、東京・大手町の経団連会館で第2回会合を開催し、佐村知子内閣府男女共同参画局長を来賓に迎え、女性の活躍に向けた課題と期待を聞くとともに、委員間での意見交換を行った。佐村局長の講演の概要は次のとおり。
■ 女性の活躍における現状と課題
女性の年齢別労働力率の国際比較をみると、日本、韓国では「M字カーブ」がみられるが、欧米諸国ではすでにみられなくなっている。日本の場合は、結婚、出産・育児をきっかけとして退職してしまうと非正規従業員として再就職せざるを得ない状況があるが、これは生涯賃金の面からも、もったいないことであり、継続就業できることが望ましい。
また、管理的職業従事者に占める女性の割合は国際的にみても低く、日本の女性活躍に関する問題点の一つとなっている。現状では、指導的地位等に占める女性の割合は、行政分野の本省課室長相当職以上の国家公務員が2.6%、民間企業の課長相当職以上が6.9%であり、政府の2020年までの目標である30%を大きく下回っている分野も存在する。
■ 政府における取り組み
今年4月に、安倍総理から経済界へ、女性の活躍促進に向けた二つの要請を行った。また、今年の9月に、第68回国連総会の安倍総理の一般討論演説のなかで、持ち時間の半分くらいの時間を使って、「女性が輝く社会をつくる」という自身の方針や取り組みを述べるなど、自らリーダーシップを取ってこの問題に取り組んでいる。
「日本再興戦略」で掲げられた政府の取り組みとしては、(1)女性の活躍促進に取り組む企業へのインセンティブ付与等(2)女性のライフステージに対応した活躍支援(3)男女がともに仕事と子育て・生活を両立できる環境整備――の三つについて、さまざまな施策を行っている。
■ 女性の活躍推進への期待
女性の活躍推進には、職場の近いところにいる上司の心構えが重要だと思う。産休や育休は、組織のなかでの情報共有の大切さを実感したり、本人の人間力や職場の組織力を伸ばしたりするよい機会でもある。男性も介護の問題で当事者になる状況が増えてくれば、企業は変わらざるを得ない。一人ひとりに寄り添っていく社会をつくるためのきっかけとして女性の問題をとらえてほしいと思っている。
マネジメントとして重要なことは、病気から回復しがんばろうとしている人や、子育て期にある女性に過剰な配慮をしないということである。働き続けるうえで「やりがい」は必要で、本人の意向に沿わない配慮によって重要な仕事から遠ざけるのは逆効果になる。「大人の配慮」が重要である。
女性には男性にはないパワーがあり、能力もあるのだから、これを活用しない手はない。すべての人材に力を発揮させることがマネジメントの役割だと思う。
【政治社会本部】