経団連は15日、「社会保障制度改革の推進に向けて」と題する提言を公表した。これは、同日召集された秋の臨時国会に、社会保障制度改革の工程表ともなるプログラム法案が提出されることを受けたもの。
経団連ではかねてより、高齢化が急速に進む社会にあって、増え続ける社会保障給付の財源を、主として消費税の引き上げで手当てすべきとする「社会保障と税の一体改革」を主張してきた。この観点から、今後進められる社会保障制度改革にあたって、次の6点を真摯に踏まえるよう政府・与党に提言した。
1.着実な消費税率の引き上げ
一体改革実現のため、税制抜本改革法に規定する2015年10月の消費税率10%への再引き上げを堅持する。
2.給付の重点化・効率化の着実な実施
膨張する社会保障給付を一定程度抑制する取り組みが不可欠である。70~74歳の医療費窓口自己負担2割化をはじめとする重点化・効率化施策を着実に実施すべきである。
3.際限なき社会保険料負担増の抑制
増え続ける社会保険料負担に一定の歯止めをかけることが重要である。特に検討の俎上に載せられている「後期高齢者支援金への全面的な総報酬割(健康保険)」や「介護納付金への総報酬割(介護保険)」の導入、「標準報酬月額の上限額(健康保険、厚生年金等)」の見直しについては再考が必要である。
4.自助努力の積極的な奨励
自助努力を促す施策として、健康管理や疾病・介護予防へのインセンティブ付与、私的年金の普及・拡大等を図るべきである。
5.国民へのわかりやすい説明
社会保障制度改革の数量的な効果の公表や、地域における社会保障の給付と負担の動向など、わかりやすい情報発信に努めるべきである。
6.社会保障・税番号制度の利活用促進
番号制度の利活用を通じた確実な所得捕捉および情報保護体制の構築や、本人了解を前提とした医療データ活用に向けた環境整備が急がれる。
【経済政策本部】