1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2013年9月19日 No.3146
  5. 国際会計基準審議会(IASB)改訂公開草案「リース」に対するコメントを提出

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年9月19日 No.3146 国際会計基準審議会(IASB)改訂公開草案「リース」に対するコメントを提出

経団連は13日、国際会計基準審議会(IASB)改訂公開草案「リース」に対するコメントを取りまとめ、IASBおよび米国財務会計基準審議会(FASB)に提出した。

■ これまでの経緯

IASBとFASBは、現行の「リース」会計基準によると、リース取引の借手の貸借対照表に、重要なリース資産が計上されない可能性があり、財務諸表利用者のニーズを満たしていないのではないかとの問題意識のもと、2006年から本基準の改訂に乗り出した。10年8月に最初の公開草案が公表されたが、世界中から多くの懸念が寄せられて再審議となり、今年5月に今回の改訂公開草案が公表された。

「リース」会計基準は、ほぼすべての企業に広範な影響を及ぼす基準であり、国際会計基準(IFRS)任意適用企業(約20社)および、米国基準適用企業(約30社)のみならず、今後、日本基準にも影響を及ぼす可能性もあるため、企業ヒアリングを行い、経団連のコメントとして取りまとめた。

■ 改訂公開草案の概要

リースの借手の会計処理を中心に、改訂公開草案の内容は次のとおり。

  1. (1)契約のなかにリースとサービスが含まれている場合には、原則としてリース構成部分を区分して会計処理を行うが、リースと他の構成要素とを区分することができない場合には、すべてをリース取引として会計処理する。
  2. (2)短期リース(リース期間が1年以内のリース)以外は、すべてオンバランスの対象とし、リース料の支払いにかかわる「リース負債」と、原資産をリース期間にわたり使用する権利である「使用権」を、貸借対照表にオンバランスする。
  3. (3)リースをA型、B型の二つに分け、異なる会計処理(費用の計上)を行う。原資産が不動産でない場合にはA型、不動産である場合にはB型に分類することを基本とする。
  4. (4)A型の場合、原則として定額の償却費と、リース期間を通して逓減する利息費用とを計上する。
  5. (5)B型の場合、毎期定額のリース費用を計上する。利息費用はリース期間を通して逓減することから、定額のリース費用から利息費用を差し引いて求められる償却費は、リース期間を通して逓増することになる。

■ コメントの概要

経団連のコメントでは、改訂公開草案で提案されている内容の全般にわたって、財務諸表作成者に財務諸表利用者のベネフィットを超えた過大なコスト負担を生じさせる可能性があり、また基準の内容が取引の実態や、これまでの会計理論から乖離していることから、次のとおり、内容を再度見直すことを求めた。

  1. (1)サービスが付されたリース契約について、サービス部分とリース部分とを区別できなければすべてリース取引として扱うことで、資産性のないサービス部分まで、貸借対照表にオンバランスされることになる。
  2. (2)すべての不動産賃貸を「リース」として取り扱い、オンバランスの対象とするのは、取引の実態に合わない。
  3. (3)短期リース以外のすべてのリースをオンバランスの対象とすることは、財務諸表作成者への負荷が大変大きく、コスト・ベネフィットのバランスを失している。
  4. (4)不動産賃貸以外は、基本的にA型に分類されることになるが、それでは不動産賃貸以外のリース取引の多様性を財務諸表に適切に反映できない。
  5. (5)B型に分類された場合には、使用権資産の償却費が逓増するという、理論的に説明のつかない会計処理となる。
  6. (6)開示について、リースの内容に関する情報、使用権資産やリース負債についての詳細の情報など、利用者のベネフィットを超えた、過剰な開示を要求している。

【経済基盤本部】

「2013年9月19日 No.3146」一覧はこちら