2012年の労働者派遣法の改正審議における国会の附帯決議に基づき、8月末から、厚生労働省の労働政策審議会において、制度の見直しに関する議論が行われるのを受け、経団連は24日、「今後の労働者派遣制度のあり方について」と題する意見書を取りまとめ、公表した。
意見書は、派遣制度の見直しにあたってまず、派遣という働き方を自ら望む労働者が多くいることや、必要な労働力を迅速に確保したいという企業側の双方に高いニーズがあることなどを十分に評価すべきとした。そのうえで、あまりに複雑な現行制度を、できる限りわかりやすいものに再構築するとともに、制度の信頼性を高めていく必要があると主張している。
例えば、派遣の受入可能期間について、政令で定めるいわゆる「26業務」には期間制限がない一方、その他の「自由化業務」は原則1年(最長3年)と異なっており、26業務か否かなどをめぐり、労働局、派遣先、派遣元で見解に齟齬が生じるなど、現場で混乱が起きている。こうした状況を踏まえ、意見書では二つの見直しの方向性を示している。
第一に、26業務を本当に専門的な知識等が求められる業務に限定し、付随的業務を1割以下とする規制を見直す。また自由化業務は、原則3年にしたうえで、労働者過半数代表の意見聴取など現行の手続きを経て、一定程度の延長を労使が自主的に決定できるよう提案している。
第二に、(1)26業務の業務区分を撤廃する(2)期間制限を「業務単位」から「人単位」に変更する(3)自由化業務は原則3年(最長5年)にするとしている。
この場合、派遣労働者を変更すれば、継続して派遣を受け入れられるようになることから、追加的に派遣労働者を受け入れることの是非や、原則3年を超える期間上限のあり方などを決める際に、現場労使の意思確認を必要とすることで、派遣先の常用代替防止を図ることが考えられるとしている。
また、制度の信頼性向上を図るため、派遣業への参入要件を見直し、基本的に同一の基準を満たす優良な事業主が事業を行うことが望ましいことから、常用雇用労働者の派遣のみを扱う場合に認められる届出制を廃止し、すべて許可制にすべきとしている。
また、登録型派遣や製造業務派遣の規制を強化すべきとの意見があることについて、登録型派遣は最も典型的な派遣の形態であり、派遣労働者にも影響が及ぶこと、製造業務派遣は、地方の中小企業にとって不可欠であることなどから、規制強化に反対の立場を明らかにしている。
さらに、12年改正により導入された、労働契約申込みみなし制度やグループ企業内派遣規制などは、企業に甚大な影響を及ぼす懸念があるため、廃止もしくは早期の見直しが必要であると主張している。
【労働政策本部】