経団連は16日、政府が今秋にも策定する見込みの成長戦略第2弾に向けた経済界の意見を取りまとめた。
今回の提言は、経団連が今年3月に公表した提言「新たな産業政策体系の構築を求める」で主張した施策のうち、「日本再興戦略」(6月14日閣議決定)に盛り込まれなかったもの、あるいは踏み込み不足の点を指摘し、さらなる成長の加速を求めたものである。
提言の内容は次のとおり。
■ 産業競争力会議の司令塔機能の発揮
「日本再興戦略」を取りまとめた産業競争力会議が、引き続きイニシアティブを取って「日本再興戦略」のPDCAサイクルを回し、必要な施策を追加・深掘りする必要がある。
■ 「日本産業再興プラン」の拡充
- (1)民間企業による主体的な取り組みの促進
- 経団連「未来都市モデルプロジェクト」のような民間の自主的な取り組みに対する包括的な規制・制度改革の推進(例=沖縄物流ハブ構想の実現にあたっての輸出先国の事前通関・事前検疫の実現、海外における流通プラットフォームの構築等)
- 骨太な規制・制度改革など企業が活用しやすいかたちでの「国家戦略特区」や「企業実証特例制度」のスピード感ある展開
- 市場メカニズムをゆがめないかたちでの事業再編や産業構造の変革の促進
- (2)労働法制の見直し
- 労使自治を重視した労働時間法制の改革(企画業務型裁量労働制の見直しの早期実施、事務職や研究職など高度な裁量を持つ一部の労働者にふさわしい労働時間法制の早期検討)
- 勤務地・職種限定契約の普及に資する雇用保障責任ルールの透明化
- (3)経済性のある価格での電力の安定供給の実現
- 今後3~5年の電力の安定供給確保に向けた具体的方策と工程表を明示
- 安全性確保と地元自治体の理解を大前提とした原子力発電所の再稼働プロセスの加速化
- エネルギー政策と整合性が取れたかたちでの地球温暖化政策の策定
- (4)税・社会保障制度の見直し
- 特定の法律に基づく認定等を要しない使い勝手のよい簡素で普遍的な投資減税制度の構築、アジア近隣諸国並みの法人実効税率25%に向けた法人課税の抜本改革の道筋の早期明確化(1面「日本再興戦略に基づく税制措置に関する提言」参照)
- 社会保障給付の一層の効率化・重点化を念頭に置きつつ、医療・介護分野における質の高いサービスの提供と制度の持続可能性の確保
- 企業の防災・減災投資等に関する促進税制、優遇融資制度の創設
■ 「戦略市場創造プラン」および「国際展開戦略」の拡充
- (1)医療・介護
- 電子処方箋の全面解禁、ドラッグ・ラグおよびデバイス・ラグの早期完全解消
- 介護分野における株式会社と社会福祉法人の役割分担の明確化
- (2)ICT
- ビッグデータ、オープンデータ等の活用による分野複合的な課題解決の早期実現
- 防災・減災に関する各種情報を国・自治体・民間企業等がICTを活用してリアルタイムで共有できる「情報共有基盤」の整備
- (3)農業
- 農業生産法人の構成員要件等の緩和(農業生産法人に対する企業の出資比率を過半数まで容認)、地域の農業の担い手となる企業による農地所有の実現
- (4)観光
- ジャパン・ブランドの情報発信力の強化とイノベーションの推進に資するMICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)戦略の策定、および国家戦略特区の活用を含む大規模MICE施設の早期整備
【産業政策本部】