経団連は6月19日、東京・大手町の経団連会館で貿易投資委員会(勝俣宣夫委員長、芦田昭充共同委員長)を開催し、外務省の片上慶一経済局長から、環太平洋経済連携協定(TPP)を中心に、経済連携をめぐる最近の動きについて説明を聞いた。
片上局長の説明の概要は次のとおり。
■ TPP交渉への参加
わが国の交渉参加に関する関係国との協議はすでに終了したが、正式参加のためには、各国における国内手続きの完了が必要となる。米国にはいわゆる「90日ルール」(新規参加国と交渉を開始する少なくとも90日前までに、議会へ通知を行うこととするもの。米国政府は4月24日にわが国のTPP交渉参加を通知した)があるため、7月15日から25日にかけてマレーシアで開催される次回交渉日程のうち、単純計算に基づくとわが国の参加は7月23日以降となる。
交渉参加により、初めてTPPの交渉テキストを入手することができる。現在、政府として情報収集を進めており、7月の交渉会合では、わが国の基本的立場を各国にしっかりと伝えたいと考えている。
■ 日米間の協議内容
TPP交渉参加に向けた二国間協議に基づき、TPP交渉と並行して、日米間では自動車協議が進められる。これは自動車に関する特別セーフガードや規制の透明性などについて議論を行うもので、わが国のTPP交渉参加後に開始され、成果はTPP合意の一部となる。
また、わが国のTPP交渉参加後、日米非関税障壁交渉も進められる。これは保険分野などについて議論を行うもので、その成果は、TPPが日米両国に対して発効した時点で効力を発する。
■ TPP交渉に向けた政府の体制
政府一体となってTPP交渉に臨むべく、交渉体制の整備を進めている。まず、関係閣僚により構成される「TPPに関する主要閣僚会議」が設置され、その下に、経済再生担当大臣を本部長とする「TPP政府対策本部」が置かれている。本部長の下には、国内の総合調整を担当する国内調整総括官と、交渉を統括する首席交渉官が任命されている。さらに、TPPの各交渉分野にそれぞれ担当の交渉官が任命され、オールジャパンの体制で各国との交渉に当たることになる。交渉の過程では、与党とも連携を図っていく。また、民間からのインプットも不可欠であることから、官民一体となってTPP交渉に取り組んでいきたい。
【国際経済本部】