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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年7月4日 No.3137 G20ビジネス・サミットに参加 -奥副会長が金融規制の国際的調整の必要性強調

B20代表との会合で発言するプーチン大統領

サミットの会場で参加者と懇談する奥副会長(中央)

ロシアのサンクトペテルブルクで6月20日、「成長と雇用の創出に向けたG20との連携強化」をテーマにG20ビジネス・サミット(B20)が開催され、経団連から奥正之副会長が参加した。

主催団体であるロシア産業家企業家連盟のショーヒン会長は、開会あいさつにおいて、「これまでのB20提言の実現状況は6割程度。引き続きG20との共同作業が必要」であるとビジネス・サミットの意義を強調した。B20代表と懇談したプーチン・ロシア大統領も、将来のリスクを軽視すべきでないとし、B20との協力の必要性を強調した。全体セッションで講演に立ったOECDのグリア事務総長は、財政・金融政策の余地が限られるなか、長期的な観点から、各分野の構造改革、制度・組織の見直し、グリーン投資の推進の必要性を訴えた。

奥副会長が参加した金融システムに関するタスクフォース・セッションにおいては、G20に対する提言案に盛り込まれている金融規制の段階的導入、中小企業向け金融等の金融包摂の確保、新興国を中心とした金融市場インフラの整備などをめぐって議論が行われた。

奥副会長は、国際的な金融規制の強化をめぐる問題として、(1)欧州の金融取引税に見られる規制の域外適用(2)リングフェンシング(リテール預金の投資銀行業務への流用防止、両業務の分離など)に伴う規制の分断化(3)すでに国際的に合意された規制との重複や累積的な影響――を指摘したうえで、これらの問題については、事前にG20などの国際的な場において各国当局者間で十分に議論・調整することが必要であり、また、国際規制や各国政策が重なることで生じる「意図せざる影響」については、IMF等の国際主体によってしっかりとモニターされ、G20に報告される必要があると指摘した。

これに対し、特に域外適用および規制強化の累積的な影響について、G20でカバーされるべきとの指摘に賛同する発言があった。そのほか、(1)英国の監督当局などが推し進めるマクロプルデンシャルな規制は資本蓄積を促進する一方、ユーロ地域の中央銀行が推し進める消費者保護的な規制は資本を取り崩す方向に作用するため、規制間の調和に留意すべきである(2)金融取引税については、導入による金融取引量に対する影響、ひいてはマクロ経済への影響が大きく、導入後、市場への悪影響から法人税収やキャピタルゲイン関連税収の減少を通じて税収が全体として下がる可能性がある(3)リングフェンシングについては、銀行というより、むしろユーザー・顧客にとっての問題であり、米国のボルカー・ルール(注)の議論が進むにつれ、他国の銀行でもサービスの継続性に対する懸念が高まっている――といった意見が出された。

このほか、貿易に関するセッションでは、保護主義的措置の監視・歯止めの必要性、複数国間の自由貿易協定(FTA)を通じた規制の統一などと並んで、12月のWTO閣僚会議において貿易円滑化に合意することの重要性が強調された。

(注)ボルカー・ルール=オバマ米大統領により提唱された金融機関の投機的な動きを規制するためのルール

【国際経済本部】

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