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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年6月27日 No.3136 アベノミクスの成果と今後の方針/甘利経済再生担当相から聞く -日本再興に向け成長戦略の実行を目指す

幹事会で講演する甘利経済再生担当相

経団連は、18日に東京・大手町の経団連会館で開催した幹事会において、甘利明経済再生担当大臣・内閣府特命担当大臣(経済財政政策)から、安倍政権の経済政策について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ アベノミクスのこれまでの成果

アベノミクスは、第一の矢である大胆な金融政策、第二の矢である機動的な財政出動、そして第三の矢である新たな成長戦略という三つの政策から成る。すでに、第一の矢と第二の矢は、日銀の異次元緩和と昨年度の大型補正予算というかたちですでに放たれており、第三の矢も14日に「日本再興戦略」を閣議決定した。これにより、「失われた20年」と決別し、「再生の10年」に向けた取り組みを強化する。

実体経済を見ると、2013年1~3月期の実質GDP成長率はプラス4.1%となり、民主党政権下の12年7~9月期のマイナス3.6%からV字回復している。ただし、消費と輸出は回復しているものの、企業の設備投資はいまだプラスの領域にない。秋の臨時国会では、設備投資を促進する政策を打っていく。

■ 日本再興戦略

“JAPAN is BACK”を副題とする「日本再興戦略」は、三つの手法から成る。

第一は「民間活力の爆発」である。首都高の補修に向けたPPP/PFIの活用や、特区における公立学校運営の民間委託等、かつて想定しなかったところまで民間活力を引き出す。

第二は「全員参加の総力戦」である。今後5年間で40万人分の保育の受け皿を新たに確保し、待機児童の解消を図ることで女性の社会参加を推進するほか、若者等についても就労を促進する取り組みを進める。

第三は「内外の新たなフロンティアの創造」である。国内では、医療分野における研究開発の司令塔となる日本版NIH(国立衛生研究所)を創設し、再生医療等の先端医療の推進を図る。海外については、貿易総額に占めるFTA比率を、現状の19%から18年までに70%へと引き上げるとともに、インフラ輸出等で総理を含めたトップセールスを展開する。

また、日本再興戦略の実行に向けては、三つのプランが立てられている。このうち二つは、国内と海外のフロンティアを獲得するための実行計画であり、残りの一つは産業基盤の強化である。企業の新陳代謝を促すべく、老朽設備の一新、不採算部門の切り出し、カーブアウト等を後押しするための税制措置や金融支援等を講じる。

■ 骨太方針で示した財政健全化の道筋

さらに日本再興戦略と同時に、骨太方針も閣議決定した。骨太方針では経済再生と財政健全化の好循環の形成を目指しており、国・地方の基礎的財政収支を、15年度までにGDP比での赤字を10年度の水準から半減、20年度までに黒字化、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指す、との目標を掲げた。

2年後の赤字半減について、昨年度のような大型補正予算を組まなければ、社会保障関係費の自然増はあるものの、必要な収支改善額のうち、消費税率の引き上げでかなりの収支改善ができ、成長の実現や歳出削減に努めることで可能と見ている。

【経済政策本部】

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