経団連は、提言「ODAの予算拡充と国際標準化戦略の推進を求める」を取りまとめ、18日に公表した。
経団連は、4月に「わが国インフラシステムの機動的かつ戦略的な海外展開を求める」を取りまとめ、対応を求めてきた。その後、政府が公表した「円借款の戦略的活用のための改善策」(2013年4月15日)、「インフラシステム輸出戦略」(同5月17日)に、経団連の主張の多くが反映された。今回の提言は、政府が先般公表した成長戦略を含め、これまでの政府の一連の施策を実現し、わが国企業の手がけるインフラシステムの海外展開を促進するために、各省の概算要求の前に、必要なODA予算の拡充と国際標準化戦略の推進を求めたもの。
提言の要旨は次のとおり。
1.資金協力の拡充
一般会計のODA予算は、ドルベースで減額することのないよう、円安動向に配慮して増額すべきである。また、顔の見える国際協力を行うために、一般会計予算の増額と円借款返済利息の活用を通じて二国間協力の充実を優先していく必要がある。
そのほか、(1)無償資金協力の大型化(2)国際協力機構(JICA)の海外投融資のドル建て融資、現地通貨建て融資、ノン・リコース融資の実現(3)円借款の執行の迅速化――が必要である。特に、円借款については、要請主義の撤廃やスタンドバイクレジットの対象分野の拡大を行うことが不可欠である。
2.技術協力の一層の展開
わが国の官民は一体となって、インフラ案件の形成から保守・管理・運営に至る技術協力をパッケージで提供する必要がある。そのためには、わが国の高度先端技術やノウハウを理解できる人材育成に重点を置くべきである。具体的には、IDA(海外産業人材育成協会)等の機能の拡充やJICAの民間提案型技術協力プロジェクトの拡大、海外留学生の受け入れ拡大などを進めるべきである。また、中東で実施するコストシェア技術協力を中南米などのODA卒業国・卒業移行国に拡大していくべきである。
さらに、海外にわが国インフラシステムを円滑に展開していくためには、相手国の法制度や規制をわが国と整合させることが求められる。その一環として、相手国の法制度や規制および入札制度等の整備支援や政策対話を通じた働きかけを行っていく必要がある。
3.国際標準化戦略の推進
わが国主導による国際標準の確立を促進するため、政府の「経協インフラ戦略会議」が司令塔となり、必要な予算や専門家の育成に取り組んでいくことが必要である。
【国際協力本部】