ILO(国際労働機関)のガイ・ライダー事務局長が17日、経団連を訪問し、米倉弘昌会長と懇談を行った。同氏の来日は、昨年10月に事務局長に就任して以来初めてとなる。
ILOは、加盟国それぞれが拠出する分担金によって運営されており、日本はアジアで第一の分担金の拠出国である。そのため、日本の政労使代表に対する表敬訪問を通じ、ILO活動に対する理解促進と支援を得ることが今回の訪問の目的である。
懇談の概要は次のとおり。
冒頭、ライダー事務局長は、ILOが世界の政労使にとってより有益なものとなるよう現在、予算編成や事務局体制の再編に取り組んでいることを説明した。また、今後ILOが改革を推進していくためには、日本の政労使の支持が不可欠であることを強調した。
さらに、日本政府が6月中旬を目途に成長戦略の策定作業を進めるなか、若年者雇用や女性の社会進出を推進していく方針を全面的に打ち出していることに触れ、日本政府の方針はILOの雇用戦略と一致するところがあるとの見解を示した。
先月、バングラデシュでビル倒壊により衣料産業労働者が多数死傷したことについては、こうしたことが同国で二度と起きないようILOとしてミッションを派遣し支援していることを説明。さらに、これから海外投資の加速が期待される隣国ミャンマーをはじめとして、安全衛生に関する技術協力支援を推進していくことを表明した。
最後に、6月に横浜で開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)や7月開催のG20雇用労働大臣・財務大臣合同会合等に対し、ILOの知見を披露したいとの意向を示すとともに、会合の成果に期待を寄せていると述べた。
【国際協力本部】