前号に続き、被災地視察の模様について、今回は宮城県気仙沼市、石巻市の状況を報告する。
【気仙沼市】
岩手県との県境に位置し、人口が約7万人である気仙沼市は水産業が盛んであり、特にふかひれの産地として知られる。東日本大震災における被害状況は、人的被害は死者・行方不明者を合わせて約1400人、全壊・半壊した住居は約1万1千戸である(出所=13年4月30日現在、宮城県公表)。
港沿いの水産関連産業は徐々にではあるが賑わいを取り戻しており、地元水産品を売る土産店での観光客の姿、また、盛り土などを行い加工施設を再建している事業者の様子も見られた。ただ、事業を再開した水産加工施設等は依然として点在している状況であり、更地の部分が圧倒的に多くを占め、街全体としての本格的な復旧・復興はまだ道半ばである。
今後は港湾エリアのかさ上げなど産業基盤を整備したうえで、事業の完全再開を果たしていくことが復旧・復興に向けた課題であると考える。
【石巻市】
続いて訪れた石巻市は、宮城県東部に位置する人口約16万人の宮城県第二位の都市であり、製紙業のほか、水産業も盛んである。東日本大震災における被害状況は、人的被害は死者・行方不明者を合わせて約4000人、全壊・半壊した住居は約3万3千戸である(出所=前掲)。
市内を概観すると、製紙工場や大規模ながれき処理施設が稼働し、地域の雇用の確保が図られている様子がうかがえた。一方で、今後、石巻津波被害地区から近郊への住居移転が計画されており、震災以前より懸念されていた港に近い中心市街地の活性化や、がれきの処理後の産業振興のあり方が課題となっている。中長期的なエリア全体での街づくりが重要であると考える。
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次号では、仙台港(宮城県)の視察の様子を報告する。
【産業政策本部】
- 岩手県釜石市、陸前高田市
- 宮城県気仙沼市、石巻市
- 仙台塩釜港(宮城県仙台市)
- 小名浜港(福島県いわき市)