経団連は東日本大震災の発災直後から、会員企業・団体の多大なる協力を得て、義援金や救援物資の提供、NPO・ボランティアへの支援、被災地産品の消費拡大や産業復興への協力などを進めてきた。発災から2年が経過した現在、本格的な生活再建やまちづくり、さらには産業の再活性化が急務となっている。こうしたなか、今年4月、岩手県(釜石市、陸前高田市)、宮城県(気仙沼市、石巻市、仙台市)、福島県(いわき市)を訪問し、被災地の現状と復興の進捗状況を視察した。その模様について4回にわたり報告する。
【釜石市】
岩手県南東部の釜石市は、わが国近代製鉄発祥の地、また、三陸漁場の中心港として発展してきた。約4万人が生活する同地域の東日本大震災における被害状況は、死者・行方不明者合わせ1130人、全壊・半壊した住居は3655戸となっている(出所=13年3月31日現在、岩手県公表)。
釜石製鉄所の操業が早期に再開したのをはじめ、釜石港および水産業関連施設の復旧整備や被災建物の撤去等が進みつつある様子が見受けられたが、本格復興に向けては、地域振興と一体となった水産加工機能の高度化や商業機能の集約等が課題となっていると考えられる。
【陸前高田市】
同じく岩手県南東部に位置する陸前高田市は、国の名勝「高田松原」を有する農漁業が盛んな陸前海岸北部の中核市である。約2万人が生活する同地域の被害状況は、人的被害が1811人、家屋倒壊数が3341戸となっている(出所=前掲)。
「奇跡の一本松」を除きすべてが流された高田松原や壊滅した市街地のがれき処理が進みつつあるなか、仮設の商業施設の営業がみられるとともに、高台移転に向けた大規模な土地造成も始まっている。しかしながら、本格復興に向けては、高台移転地域を含め公共・公益施設、商業ゾーン、住宅街等の整備が急務となっていると思われる。
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次号では、宮城県気仙沼市、石巻市の状況を報告する。
【産業政策本部】
- 岩手県釜石市、陸前高田市
- 宮城県気仙沼市、石巻市
- 仙台塩釜港(宮城県仙台市)
- 小名浜港(福島県いわき市)