4月30日から5月3日にかけて、安倍晋三首相のサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)およびトルコ訪問に、米倉弘昌会長や渡文明審議員会議長をはじめとする経団連首脳のほか、日本経済界の代表約200名が同行した。
今回の訪問の目的は、「協働(地域の安定に向けた貢献)」「共生と共栄(経済関係の拡大・深化)」「寛容(文化・人的交流の強化)」を掲げて中東との関係強化を目指す安倍首相に同行し、資源・エネルギーの安定供給の確保のみならず、インフラ整備や人材育成での協力の広がりが期待されている中東諸国との包括的パートナーシップの確立を図ることである。
安倍首相に経済界が同行して中東諸国を訪問するのは2007年春以来となる。今回の訪問では、長年の課題となっていた投資協定、租税条約、原子力協定の署名のほか、インフラ輸出と人材育成について踏み込んだ意見交換を行うなど所期の成果を得た。概要は次のとおり。
■ サウジアラビア
サウジアラビアのジッダでは、サルマン皇太子と安倍首相との日サウジアラビア首脳会談に経済界首脳も同席した。席上、安倍首相から、経済面・安全保障面での関係強化を提案し、双方が「包括的パートナーシップの強化に関する共同声明」と、二国間投資協定に署名した。また、人材育成での協力や原子力協定に関する事務レベル協議を進めることで合意した。
なお、07年の訪問を機に設立された、「日サウジアラビア産業協力タスクフォース」が両国経済関係の強化に大きく貢献していることを双方が確認し、サウジ側からさらなる投資拡大への期待が寄せられた。
■ アラブ首長国連邦(UAE)
UAE・アブダビでは、安倍首相とともに日本の経済界首脳が、ムハンマド・アブダビ皇太子との会談に臨み、政治、経済、文化・人的交流等の幅広い分野で双方が包括的パートナーシップを構築することで一致した。特に経済面では、UAEから日本への安定的なエネルギー供給、日本からUAEへの省エネ・再生可能エネルギー分野での貢献に加え、インフラ開発、医療、人材育成分野での協力を強化することとなった。
今回の訪問を機に、両国経済界の間で開催した日UAEビジネスフォーラムでは、両国の官民関係者約600名が参加し、エネルギー、産業、インフラ開発に加え、教育、医療および食について議論を行った。UAE側からは、日本企業の人材育成での貢献に大きな期待が寄せられた。
ドバイでは、安倍首相とムハンマド副大統領兼首相(ドバイ首長)との会談に日本の経済界首脳が同席した。会談では、日UAE間の租税条約、原子力協定への署名が行われたほか、教育・医療・水・文化といった幅広い分野に関する12の協力覚書を締結した。
【国際協力本部】