経団連は3月19日、東京・大手町の経団連会館で開催した幹事会で、根本匠復興大臣から、東日本大震災からの復興加速に向けた取り組み状況について聞いた。
講演の概要は次のとおり。
■ 復興庁の司令塔機能の強化と現場主義の徹底
復興の加速は、安倍内閣の最重要課題である。総理の指示のもと、すべての閣僚が復興大臣という気構えをもって、復興大臣を中心に体制を一元化し、内閣が総力を挙げて取り組んでいる。
復興の加速には、政治主導が必要と考え、復興庁の司令塔機能を強化した。東京に福島復興再生総括本部を設置し、私が関係省庁の局長クラスを直接指揮できる体制を整えた。同時に、現場にそれぞれの解があるとの考えから、現場の声を吸い上げて施策に反映させられるよう、福島に福島復興再生総局を設置し、現地で即断即決できる体制を整えた。
また、宮城・岩手の津波被災地域で一番大きなテーマである住宅再建を加速化するため、「住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォース」で、施策パッケージを取りまとめた。
■ 復興予算に関するフレームの見直しと復興の加速化の具体化・推進
平成25年度予算編成とあわせて、当初5年間19兆円とされていた復興フレームを25兆円に増額し、必要な財源を確保した。
住宅再建・復興まちづくり等の観点からは、関係事業にかかる工程と住宅・宅地の戸数の年度別目標である「住まいの復興工程表」を公表するとともに、上記タスクフォースにおいて工程表の加速化を推進している。また、津波被災地域における住宅再建支援のための取崩し型復興基金を増額している。
被災地域の商業復興促進の観点から、津波被災地域における企業立地にかかる新たな支援制度の創設や、グループ補助金の事業対象への共同店舗の新設等の追加を行っている。
福島の復興・再生の加速化の観点から、新たな支援制度として、(1)避難区域における帰還加速や区域の荒廃抑制のための「地域の希望復活応援事業」(2)長期避難者の生活拠点形成のための「コミュニティ復活交付金」(3)子どもの運動機会の確保等のための「子ども元気復活交付金」――を創設した。また「除染・復興加速のためのタスクフォース」開催や「早期帰還・定住に向けたプラン」の取りまとめを行っている。
■ 新しい東北の創造
震災復興にあたっては、生活再建にとどまらず、人口減少、高齢化、産業の空洞化への対応や、持続可能なエネルギー社会の構築など、世界のモデルとなる創造と可能性ある未来社会を目指すべく、「新しい東北」を創り上げる。
復興庁に置かれた復興推進委員会では、(1)子どもの元気で健やかな成長を見守る安心な社会(2)「高齢者標準」による活力ある超高齢社会(3)持続可能なエネルギー社会(4)頑健で高い回復力を持った社会基盤の導入で先進する社会(5)地域資源の高い発信力を持った社会――の五つをテーマに検討する。
新たに、民間企業の事務経験者を被災自治体に派遣する仕組みを整えたので、民間のノウハウを活かし、復興をより円滑に推進するため、経済界の支援、協力をお願いしたい。
【総務本部】